実践 工事進行基準の戦略的活用方法―新会計基準に対応する経営革新をどう進める! (2009-25/100)

実践 工事進行基準の戦略的活用方法―新会計基準に対応する経営革新をどう進める!

この4月以降の会計期において建設業の売上、原価計上が原則進行基準採用となりました。今までは原則が完成基準であったため大きな変更です。本書はそうした進行基準採用にあたり、単なる会計規則に則った会計業務の遂行だけでなく、本来進行基準を推し進めるにあたって必要な情報収集のための仕組み作りをもとに企業の体制を強化し経営に役立てようという趣旨のものです。

進行基準を採用するにあたり最もポピュラーな方法は原価比例法。これは請負金額と見積総原価、現在までに発生した実際の原価の3点を把握する必要があります。建設業の悪しき商習慣として契約前の前倒し工事があったり、実行予算を組まずに施工したりと・・・今までの方法では進行基準を採用することはできません。としたら採用にあたって皆が意識を変えて取り組むようになるのでは??と考えたいところですが、そこは今までのどんぶり勘定の延長線上で適当な(あるいは恣意的に)進捗率を見積もって計上するか、何らかの理由をつけて完成基準でいくかのどちらかでしょう。本書でもそうしたリスクが存在することに触れています。

そうした抜け道を探るのではなく、この機会に体制作りから行いたいという企業には良い指南書となると思います。進行基準採用には客観性、合理性等が不可欠で、そのためには内部統制が必要になってきます。そこで進行基準のためだけでなく、施工管理の強化、現場への予算原価管理ノウハウの展開などを念頭にすすめることで経営にプラスの効果が現れてきます。そうした部分の記述もありますので参考になります。

ただ、「戦略的活用」のステップやチェックシート、仕組み作りの図解などが無く活字中心の構成となっている部分が少しわかりづらいように思えました。