工事進行基準について(平成20年度税制改正)

 平成20年度の税制改正により工事の進行基準適用についても変更があります。具体的には以下の4つです。

(1)工事進行基準によるべき長期大規模工事の範囲を、工事期間1年以上請負金額10億円以上に拡大する。
 今まで具体的な適用基準がなく法人税法上でも2年以上50億円以上となっていましたが、1年以上10億円以上と拡大されます。進捗度を測るため全体予算と実原価の比較が必要になるため特に元請企業にとっては情報システムの整備などが急務といえるでしょう。
(2)長期大規模工事以外の工事で損失が生ずると見込まれるものについて、工事進行基準の適用を可能とする。
(3)工事進行基準の適用対象に、ソフトウェアの受注制作を加える。
 オーダーメイドのシステム開発を行う場合、その契約形態は建設業のものと非常によく似ています。完成していないシステムに要した費用は仕掛品として計上されるのですが、長期で大規模な開発には同じ仕組みが必要だということです。これによりシステム開発を行う会社の収益構造がより実態に近いかたちで把握できるようになります。
(4)工事進行基準の適用により計上した未収金を、貸金等に含める。
 この未収金を貸金等に含めることが私個人的には大変重要だと考えています。進行基準にて売上高(完工高)を計上したとしても売上債権として残ります。そのため進行基準を採用している企業の売上債権はどうしても過大に見え、回転率などの経営指標も悪くなってしまいます。進行基準によって計上された未収金はそういった意味でも通常の完成工事未収入金とは分けて計上することが必要と考えます。回収が長期に渡ることが多いため必要な措置といえるでしょう。

 おそらく適用のためのガイドラインか何かが今後出てくると思います。情報が得られればここでも紹介します。