建設会社の借入返済・資金繰りについての相談

Phm01_0396 「借り入れが減らないんです。」

これが今日の相談。もう何年も返済と新たな借り入れを繰り返している。借入金を減らすための方策は2つしかない。1つは返済。もう1つは放棄。もちろん2つ目の方策は最終手段でもある。

返済を毎月行っていると1年程度で貸付限度に余裕がうまれる。セーフティネット貸付で信用保証がつけば金融機関は借入を提案してくる。安易にのれば一向に借入は減らない。

「借りておけるうちに借りておかなくては・・・」という経営者の声。それをまったく逆手に取れば、「借りられないときがくる可能性がある」ということである。返済と借入の堂々巡りを断ち切らなければ自転車操業は止まらないのだ。

今日の訪問先企業は建設会社。個々の工事では積算や工程管理の精度が高く、きっちりと予算を守って粗利を確保している。しかし資金が足りなくなるタイミングがある。それは公共工事がひと段落する新年度早々の頃である。根本からの改善を提案しても実現性や即効性が低ければ優先順位を下げて、目先の対応も必要である。この企業の場合、利益はでなくてもいいから、春先の資金需要に耐えうるだけの工事を最低限確保することだ。しかし工期が長ければ入金のタイミングがずれる。春に入金を得ようとその前から工事に着手すれば繁忙期の年度末と重なる。とすれば小口の工事。そして支払いサイトが短い民間・個人向けの工事が一番いい。

当社の場合、民間工事に関しては営業をまったくしておらず依頼があった工事のみ対応しているとのこと。また長年得た信頼から、工事の繁忙期にきた依頼を閑散期に移すなどの依頼にも応じてくれるとの話であった。しかし前述の春先の資金需要を補えるほどではないとのこと。

それでは・・・営業しなくても工事を依頼してくる上得意先の数を必要量だけ増やす営業が大切となる。これは春先にするのではなく、工事の着工は春先。それでもいまのうちから発注してくれた場合のプライオリティを顧客に与える。もちろん着手金などは契約時ではなく着工時にしなければ顧客の不安を誘うだけである。

営業下手な経営者に「営業するとよい」といってもしり込みするだけである。今まで通りの工事を行う傍ら、例えば工事の開始時にするご近所へのあいさつ回りのときに、工期の説明に加えて工事内容とパンフレットを渡すぐらいでかまわない。もちろんそれだけでは足りない場合もあるが、地域密着で知名度抜群の当社の優位性と、訪問先の地域性を考えれば、これで効果が得られるものと考えている。「営業のための訪問」ではなく、「ついでに営業」と考え、必要な営業ツールや営業トークを予め準備しておくことも大切である。

これで追加借り入れが不要になり、借入金が徐々に少なくなれば、金利負担も減ることから収益性も改善していくのである。実行には課題も多いが、借入依存体質から脱却するために今後も支援していきたい。