「安全」でメシが喰えるか

 下請中心で工事を請け負う企業の場合、他社との差別化を図らなければ価格低減を強いられ身体を削られながら商売する悲惨な方向に進んでしまう。
 今まで特に差別化しなくても工事にありつけた企業は今になって自社の強みがどこにあるのかもわからず右往左往している。そこで強みを明らかにする1つの切り口を紹介したい。
 発注側からの視点でどこの下請に工事を出すか考えた場合、Q(クオリティ:品質)、C(コスト:費用)、D(デリバリ:納期)にS(安全)を加えた4要素が重要となる。下請会社が勝負したいのはQDSの3つである。Cは外注費をおさえて内製化できる場合などを除いて体力勝負になるケースが多いからである。そして特別な技術力を必要とせずに取り組める差別化対象がS(安全)である。
 「安全」なだけで発注してもらえるのか?という疑問の答えはYesである。現場の事故は元請が指名停止になるなど影響範囲が多く、発注側としても大きなリスクとして捉えている。危険な仕事であればあるほど「無事故」はその企業にとって大きなアピールポイントとなる。
 実際に私の支援先でも「無事故」がリピート受注の1番の理由となっている企業がいくつかある。ただし特別な技術は必要ないといっても全社一丸となり徹底した取組み姿勢が大切となる。その姿勢は企業全体の推進力となり他方面への波及効果も得られる。
 自社の強みを育てたいと考えているあなた。一度検討してみて欲しい。