うっかり

 うっかりミスが原因でとんでもない問題に発展してしまったジェイコム株事件。原因追求が進むにつれ情報システムの誤動作まで話題になっています。それではどうすればこのミスは防げたのでしょうか。
 「人はミスをするもの」とよく言われますが、人が起こすミスもずっと同じではありません。作業に慣れない場合に起こるミスは習熟していないから。逆に熟練しているのに起こるミスはマンネリ、油断から起こるミスです。今回もシステムが発した警告はいつものように発せられるものだったらしく、「いつものこと・・・」と油断していたのかもしれません。
 システム側でミスを防ぐ仕組みは「フールプルーフ」と呼ばれていますが、そのレベルも様々で単に警告を発するレベルだと今回のようなミスは防ぐことができません。重要度で警告をレベル分けし、レベルの高い警告の場合、実行ボタンを複数設けたり、上司の承認が必要な機能を設けるなどの工夫が考えられます。後者の場合は時間的制約から今回の事件では用いることはできないですが・・・
 システムで防ぐミスには限界があります。一番ミスを防ぐ効果があるのは人によるものです。「ダブルチェック」と呼ばれるものです。身近な例ではファーストフード店で1万円札を出したときお釣りを渡す前に札の枚数をレジ担当自身の確認に加え、他の誰かに確認してもらっています。飛行機の中で客室乗務員がドア操作をする場合などもダブルチェックが行われています。このダブルチェックは逆に「必ず●●さんに確認してもらうこと」などとルールを決めすぎると●●さんもいつかマンネリになり確認ミスを起こす可能性があります。ダブルチェックの仕組みとマンネリを防ぐ工夫が必要となります。
 建設現場では例えば住宅建築の場を考えると、現場代理人、専門工事業者等それぞれが個別に機能するためチームで動いていることは少ないように思います。ダブルチェックを行うには都度、施工内容を現場代理人に確認してもらうしかないでしょう。この一見面倒な確認作業が、左官作業が終わってから配線設備の不具合が発見され壁を取り壊すなどの手戻り作業を防ぐことになり長期的なコストダウンにも繋がるのです。