五洋建設の赤字脱却

 日経産業新聞より
 五洋建設は海洋土木を得意とする。そのため土木部門は業績が良かったのだが、建築部門は毎年のように赤字で土木部門での利益を食いつぶすお荷物部門であった。それを立て直した立役者が企画部長の清水氏。清水氏がとった対策は赤字工事を全支店に開示することであった。目的はもちろん担当者を締め上げるためではない。経営改善のための危機感を全社で共有するためだ。
 各工事の収支状況を全社で共有することは大変有意義なことだ。何より風通しを良くし、特に中小企業に必要とされる敏捷性を向上させる。
 しかしながら、中小規模の建設会社でも各自の工事成績を開示し共有することに難色を示すことが多い。大手の五洋建設にもできたことが何故できないのか。それは工事成績を個人成績だと勘違いしていることが大きな原因だ。他業界と比較して現場責任者に課せられる権限・責任は大きく工事成績は現場責任者の資質に影響する部分も多いことは確かであるが、あくまで企業の一員として情報の開示はむしろ義務である。公開された側も個人を攻撃するような幼稚な使い方をするのではなく、自身の工事、または会社全体のために有効活用するべきなのである。
 情報共有はむしろ中小企業の方が得意とするべき武器である。大企業がそれに対応するようになると圧倒的不利な状態になってしまうのではなかろうか・・・