容疑者ケインズ (2009-2/100)

容疑者ケインズ (ピンポイント選書)

経済学者のケインズ。少し経済について触ったことのある人なら聞いたことがある名前だろう。私もそのうちの一人。しかしケインズが唱える内容についてはほとんど知らず、また理解できるほど経済学の知識も持ち合わせていない。

そうした人間にとって本書はケインズのいう理論を理解するのに良いと思える。筆者の小島氏は帝京大学の准教授。もともとは数学科出身で数学の講師をされていた。経済学を社会人になって学び始めた同氏はケインズに対する理解をわかりやすく解説してくれる。生粋の経済学者が書く解説よりもはるかにわかりやすいのである。私も同じ数学科出身というところで妙な親近感を覚えてしまった。

この本はケインズのすべてを解説するわけではない。不況、バブル、格差といった今の経済情勢にケインズの理論をあてはめることで理解をうながしつつ、ケインズを賞賛したり反論したりと色々である。

経済学素人の私にとって公共投資や貨幣量が経済に与える影響や投資・消費・貯蓄の関係など興味深いテーマがいくつもあった。

またいつか読み返したい本である。