建設業コンプライアンス入門(2009-6/100)

建設業コンプライアンス入門 (大成ブックス)

建設会社が遵守するべき法律は建設業法、建築基準法をはじめ多岐に渡る。

建設業界でコンプライアンスについて語られる多くの場合は下請取引に関するものである。一般の中小企業には下請代金支払遅延防止法があるが、建設業の下請に関しては建設業法がそれにかわっている。また建設という産業は多くの産業廃棄物を排出することから建設リサイクル法をはじめとした環境分野の法律にも配慮が必要である。
法務部門がある大手建設会社ならともかく、こうした法律の同行を1つ1つ追っていくのは至難の業であり中小建設会社においては総務・経理・人事と一人で担当している企業も多く存在する。そうした企業においては深く掘り下げることは難しいが、広く浅い知識をインプットしておき、具体的な事案にあったときには専門家を利用するなどが現実的であろう。
本書はそうした建設会社が遵守すべき法律を広い範囲にわたって解説している。なかには企業によっては関連が薄い法律も含まれているが一読して浅くてもいいので法律知識をインプットしておくことが大切だと考える。
著者は弁護士や大手ゼネコンのCSR担当者があたっている(複数の著者による共著であるがゆえに担当章ごとに言い回しが異なるところが少し気になった。)
経営事項審査においても行政処分による減点措置が平成20年より始まっている。年を追うごとに罰則も厳しくなってきている。企業としての信頼性を守るためにもコンプライアンスには気をつけたいところだ。