最後の授業 ぼくの命があるうちに (2009-3/100)

最後の授業 ぼくの命があるうちに

 この本の存在を知ったのは1月7日、堺市内の書店で見かけたときだ。「最後の授業」というタイトルと帯に記された「余命半年」という言葉に大きく引き付けられた。「自分の命があるうちに伝えておきたいこと」を少し考えた。ただそのときはこの本を手にすることはなかった。

 次にこの本のことに触れたのは読書力の本で紹介されていたとき。短い間に2回の出会いがあった。すぐさま書店に出向き購入した。癌が再発し余命半年といわれた筆者の境遇ち最後の授業の内容を想像しきっと自分は涙を流すだろうと予想していた。

 しかし読み進めるうちにすぐにこれは癌との闘病記などを綴ったものではなく、タイトルの通り筆者がカーネギーメロン大学で行った「最後の講義」の続きとして書かれたもので、筆者が自ら様々な子どものときの夢を現実のものにしてきた経験とこれから夢を実現したいと考えている人たちへのメッセージが主な内容となっている。

 ともすれば涙を流すという予想は外れそうであったが最後のところでやはり予想通りとなった。悲しさと感動と半々だと思う。

 筆者はITのバーチャルリアリティという分野を専門とするカーネギーメロン大学の教授。バーチャルリアリティという言葉とカーネギーメロン大学。私が過去に勤めたことのある企業でこの2つのキーワードは大きな関連があり親近感も覚えた。

 色々な思いが駆け巡りながら読み進めていくことになったが、読み終えた感想としてはやはりこれからの人生を生きていく中でヒントになることを多く得ることができたということ。

 「幸運は、準備と機会がめぐりあったときに起こる」という一節があった。これと同じことを数日前に受けた相談の際に相手に伝えた。それは間違っていない考えだと再認識できた。

 「レンガの壁」がよく登場する。目の前に壁が立ちはだかったとき、自分がそれを超えられるか試されているチャンスと捉える。私は筆者と同じくして楽観主義者だと自分を分析しているが、厳しいことに立ち向かうよりはそれを避けていることの方が多いように思える。それは楽観主義ではなく単なる怠け者だと気付きを与えてくれた。これからはそのチャンスをものにしたいと思う。

 この本もまたいつか読み返したい一冊となった。

※実際の最後の授業の様子はYouTubeで見ることができる。