社員教育は誰が?

 経営資源の中で唯一無限の可能性を秘めた「ヒト」。各社、人材の重要性を認識し教育に時間やコストを費やしていると思う。新入社員にはビジネスマナーなど社会人の常識を教えるための教育。幹部社員には自社の経営理念・経営計画に基づいた部門管理のありかたについての教育。それぞれ与えられている役割に応じた教育内容があると思う。
 社員それぞれの個性や持ち味を活かし、経営上の戦力とするにはまず経営理念(というよりは社長の信念)をまず浸透させることが大切である。これは社長の考え方を押し付けるのではない。信念を理解し自分としてどう行動に落とし込むかは社員の裁量によるものである。
 素晴らしい業績を残している会社を訪問すると半ば宗教的とも感じるほど経営者の考え方が末端まで浸透している企業がある。これは短期間で構築できない企業文化そのものであり他社がなかなか真似のできない企業優位性に違いない。皆が同じ考えのもと行動するので組織力が何倍にも増幅し企業全体のパワーとなり業績を押し上げている。
 それでは経営者はどれだけ経営理念の浸透に力を入れているだろうか。新入社員の多くは入社式以来社長と話をしたこともない場合が多いのではないだろうか。信念・理念は企業の根幹であり早い時期に理解してもらわなければ各人に根付かせることはできない。ビジネスマナーや技術教育を行いながらこの基礎教育(根幹教育)を経営者自身の手で継続的に行う必要があるのではないだろうか?