経営事項審査の虚偽申請防止

 建設ジャーナル12月号の記事に経営事項審査の虚偽申請防止対策についてのチェック項目が掲載されていた。
 1.前期、当期の経常収支比率がいずれも100%未満、かつ当期経常利益がゼロ以上である
 立替期間の長い業界特性を加味したとしても2期連続で資金繰りの経常収支がマイナスになるのはおかしいとの考え方。これは粉飾決算かどうか判断するためによく用いられる基準である。他には以下の4項目である。
 2.総資本回転率の経年変化が異常に大きい
 3.未成工事支出金が月商に対して異常に大きい
 4.特別損失が売上高に対して異常に多い
 5.各勘定科目の金額が総資産の金額に対して異常に多い。

 不適切な会計処理の事例についても5つ掲載されている。
 1.未成工事の売上計上
 2.工事進行基準の不正な適用
 3.費用計上の先送り
 4.回収可能性の無い債権等の資産計上
 5.完成工事原価や販管費の特別損失計上
 特に1や3、5などは散見される事例ではなかろうか。私も経営事項審査の評点アップのセミナーをやることがあるが、上記のような不正行為を助長しないように気をつけている。あくまで評点アップは損をしないようにする策であって、できることには限界がある。それを工事ランクが下がるなどの理由により虚偽申請に走ることなど無理な背伸びはしないほうが身のためである。