コンバージェンスの波

 財務会計基準機構の企業会計基準委員会(ASBJ)が工事進行基準と工事完成基準の選択適用について見直しを進めているそうだ。現在長期工事の収益計上では選択適用が認められているが国際会計基準では工事進行基準の適用となっている。
 今回の検討の流れは国際会計基準にのっとった工事進行基準の一本化という訳ではなく、「工事完成基準を適用すべきケース」と「工事進行基準を適用すべきケース」を整理するらしい。
 実現主義・発生主義にて長期の仕掛工事も年度ごとに売上・原価に計上する考え方は私は好きなのであるが、見積総原価と発生原価の割合で出来高を算出するため、見積も総原価を恣意的に変更させれば利益操作につながってしまう危険性もある。また、原価は決して線形に推移するわけではないので単純に原価で出来高を算出すること自体無理があるようにも思える。
 そういった現状も踏まえた適用ルールが与えられることを期待する。

法律の勉強

 以前、ここでも紹介したように行政書士資格を取得するための学習を開始している。テキストは通信講座のU-CAN。行政書士の通信講座としての評判は実はあまりよくない。安価であるが入門レベルであるためということらしい。
 ちなみに私はまとめて法律の勉強をした経験がない。その立場からいえばこのテキストでも十分な感じである。とりあえず書き込みしやすそうな六法を購入しテキストを読み進めながら六法に論点をまとめて記入する形で進行中である。
 今月は憲法。ちなみに条文の暗記は前文段階で悪戦苦闘中である。とりあえず大一段落はなんとか覚えた・・・
 ※最近、電車の中でボソボソと復唱しているのでかなり不審者っぽくみられているかもしれない・・・

一般競争入札の対象拡大

 国交省が談合防止策をまとめた。国の事業では現在2億円以上となっている工事の額を下げて一般競争入札の対象を拡大する。新しい額の閾値は今後検討する。市区町村向けには参入基準を設定する。
 一般競争入札の拡大にはダンピングや工事品質の低下が懸念されるとの声が大きいが、適切な建設会社のみが参入できるように契約履行を保証する制度(入札ボンド)の導入もあわせて進める。損害保険会社が行う信用力審査に合格できない場合は入札に参加できないのでふるいにかけることはできる。
 今後は経営事項審査対策だけでなく、損害保険会社向けに健全な財務状態を維持することが大切になる。入札ボンドの保証料金がどのように設定されるかは不明だが、財務状態が悪ければ保証料も高くなるものと考える。保証料が高くなれば当然利益率の低下を招く。
 今後の動向に注目したい。

住宅のバリアフリー改修促進税制の創設

 平成19年度の税制改正の中に「住宅のバリアフリー改修促進税制の創設」がある。現在まで利用できる住宅金融公庫の関連融資や住宅改造費の助成制度とならんで今後利用が進むものと考えられる。
 以下は紹介記事(全建ジャーナル2007.2月号)からの抜粋である。
 平成19年4月1日から平成20年12月31日までの間に、一定のものが事故の居住の用に供する家屋についてバリアフリー改修工事を含む増改築等工事を行った場合、原稿の住宅リフォームローン減税制度と新設される以下の制度を選択できるようになる。
 (A)バリアフリー改修工事に係る借入金(200万円まで):年末残高の2%を5年間所得税額から控除
 (B)(A)以外の増改築等に係る借入金:年末残高の1%を5年間所得税額から控除
 ※ただし、控除対象となる(A)、(B)における借入金額の上限は合計1,000万円
 改修工事の費用負担を間接的に軽減させるものとして工務店営業担当者はこの税制の詳細までを把握している必要がある。利用がはじまるのは4月からとなるが今から情報を集めておきたい。

公共工事の品質確保促進に関する取り組み

 全建ジャーナル2月号の記事に『官庁営繕工事における品質確保の促進に関する取り組みについて」という記事があった。一般競争入札の拡大にあいまって価格競争が激化して低入札が急増している。あきらかに赤字工事になるであろう金額での入札ということである。それは手抜き工事や安全対策の不徹底につながる。または下請業者へのしわ寄せにつながる。
 そこで総合評価落札方式の拡充などにより単純な価格競争に陥らないように工夫がされているが、記事の中で注目したのは低入札特別重点調査。どういった場合に調査対象になるかフローチャートが紹介されていた。要は入札額が基準価格より低く、その内訳も一定の割合を下回っている場合が対象となる。その一定割合は以下の通り。
 一般管理費等:予定の30%
 現場管理費:予定の60%
 共通仮設費:予定の70%
 直接工事費:予定の75%
 関連する情報はこちらから取得できる。通常の積算処理さえしていれば、このようになることはありえないはずである。今後入札参加資格の対象は広がるものの、入札内容について厳しいチェックが課されることになる。こうした動向についても注視していく必要があろう。
 

断熱材と工法

 テレビCMや住宅系雑誌などの効果で高断熱・高気密を実現した省エネ住宅に注目が集まっている。次世代省エネルギー基準など大手住宅メーカはもちろん対応済みであるが、地域の中小工務店でも対応住宅へのニーズが広がっている。しかし、断熱材を適当に敷設するだけで高断熱を実現できるものではない。また、高断熱・高気密は同時に結露対策も考える必要がある。断熱材は様々なものが開発・販売されているが、断熱材にあった適切な工法・使い方をしなければ効果が無いだけでなく逆に害を及ぼす場合もある。
 高断熱・高気密をうたうには継続的な研究が不可欠である。しかしもう何年かすれば特長として打ち出すには当たり前になりすぎて効果を成さなくなるであろう。とすれば早期に自社での高断熱・高気密工法の標準モデルを決定し技術・ノウハウを蓄積しながらコストダウンを図る方が先決ではなかろうか。

標準化はルール作りから

 建設会社において受注アップやコストダウンをはかる際にキーワードとして頻繁にあがってくるのが「標準化」や「ルール」といった言葉である。例えば営業活動を効率化し受注アップにつなげたいとしたとき、新規顧客、OB顧客にどのようにアタックしていくのかが課題となる。検討の際には当然成績のよい営業マンの手法を真似るのが早い。ただし、見た目の上っ面だけ真似ても駄目である。本質を真似る必要がある。これを属人的な判断で行っていては効果も半減である。そこは全社一丸でやることが大切である。そのためには「○○していこう」と全社的にルールを設けることになる。
 設計施工におけるコストダウンも同じ。担当者が個別に独自の観点で設計していては打ち合わせも時間がかかるし施工も都度仕様が変わるので効率化もやりにくい。そこで設計ルールを設けることを考えてほしい。ここで注意するのは無理にルールを設定しすぎて顧客の選択肢の幅を狭めすぎてもいけない。ローコスト住宅であればそれもいいが、自社ターゲットとする顧客層と照らし合わせ選択肢の幅も設定する必要がある。ただルール作りは顧客に対して制限を与えるものではないことを認識してほしい。設計ルールがない状態では選択肢は無限である。その無限の選択肢から担当者の属人的な知識・好みから自ずと選択肢を絞り込んでしまう。これは実は押し付け以外の何物でもない。予め顧客にとって最適な設計プランを複数用意してこれをたたき台に話をすすめることは顧客にとってもうれしいことなのである。ルール作りと押し付け。この違いを把握して是非ともチャレンジしてみてほしい。

ワンストップセンター事業 中小・中堅建設業者のための経営相談Q&A

 建設業振興基金が運営するホームページ「ヨイケンセツドットコム」に新たに経営相談のQ&A情報が掲載された。「ワンストップセンター事業 中小・中堅建設業者のための経営相談Q&A」である。これはこのブログでも何回か紹介しているワンストップセンター事業にてよせられた相談事項に対して一般的に参考になるものをまとめたものである。汎用性を重視しているため具体策までは言及されていないが、経営上多いに参考になる情報が多い。是非活用してほしい。

顧客にわかりやすい見積もり・・・

 住宅建築などの見積もりはわかりにくい・・・それは根拠を示しにくく専門的だから。しかしすべてを納得してもらうことも事実上困難である。そこでおすすめしたいのが、顧客の目線にあわせることだ。
 最近、家を建てようとする施主が工事内容をチェックできるように様々な書籍が出版されている。自ら家を建てようとする人は少なからず勉強しているためこうした書籍に目を通しているケースが多い。
 例えば『実用図解 木造住宅工事チェック・ハンドブック』もそうだ。準備工事、基礎工事など工種べつにチェックのしどころをイラスト付きで説明している。例えば、ここで紹介されている工種別に見積明細を提示できれば顧客にとってもわかりやすいものではないだろうか。ついでにこの書籍もプレゼントしてしまえばよい。自前でチェックブックを作成してもよいが、そこは第三者が作成したものの方が信頼が厚い。基礎工事は「水盛・やり方工事」、「地業工事」、「鉄筋コンクリート工事」、「スリーブ工事」、「基礎断熱工事」に分類されている。
 「弊社の見積もりはこの書籍の工事分類に合わせています。工事分類とその内容についてはこの書籍に書いてありますからよろしかったらどうぞ!」
 顧客の信頼を得るのに一番難しいのは見積もりである。そして一番確固たる信頼を得ることができるのも見積もりではないだろうか。安ければいいのではない。誠実さが表現できればいいのである。