住宅建築、アフターサービスを拡充すれば口コミが期待できる

 新築やリフォームを行うにあたって、口コミや紹介による受注はのどから手が出るほどほしい。顧客との信頼関係の構築も早いし、基本的には合見積もりも避けられることも多いため理不尽な値引き要請も避けられる。

 建築関係のニュースサイト、ケンプラッツの記事「紹介したくない理由の上位に「アフターの悪さ」にあるとおり、アフターサービスが悪いと口コミも広がらない。言い方を変えるとアフターサービスにより顧客は満足するということになる。もちろん工事ミスなどクレームにつながるものは排除しなければならないが、クレームにいかに対応できるか、定期点検をきちんとできるか、約束を徹底的に守るかの方が顧客にとっては大切だということである。
 しかし、顧客から怒られる、手直し工事をやらされる・・・などの理由でアフターの訪問を避けている会社をよく見かける。自らリピートや口コミの可能性を遮断しているのである。
これを避けるには・・・最近行った工事で満足度の低いと思われる顧客順にすぐさま点検訪問することだ。

建設業は本当に個別原価計算が向いているのか?活動基準原価計算を考える

 建設業において原価管理業務は非常に重要だ。しかし多くの企業がどんぶりであり、少数の企業においては一応原価管理と呼ばれる業務が行われている。予算をたてて原価と比較しているか、単に工事別の原価を把握しているだけかの違いはあれどもその殆どは個別原価計算と呼ばれる手法を採用している。

 しかしすべての建設会社において個別原価計算が良いということではないのだ。

 特に現場管理業務が中心で施工の殆どを外注にまかせているゼネコンは個別に把握される原価は外注費のみでその他の原価についてはある基準でもって配賦されることが多い。強引に各工事に配賦された数字は客観的な信憑性を持たないために、せっかく得られた原価が意味を成さないものとなる。「うちの工事は黒字なはずなのに共通原価がこんなに配賦されては赤字になってしまう!」という現場の声はどこにでも聞かれる話である。配賦する原価の割合が大きすぎて実際の原価とは大きな誤差が発生してしまうためである。
 共通原価という呼び方も良くない。単に個別に把握できないだけで「共通」と呼んでいるだけだ。実際には把握することも可能で、そこに原価管理上のポイントが潜んでいるケースが多い。
 特に営業担当者や積算担当者の原価を各工事別に把握できなければいつまでたっても「粗利は出てるのに営業利益になるといつも赤字だ・・・」という経営者の意思決定を促すための経営資料は得られないのである。
 そこでオススメしたいのが活動基準原価計算と呼ばれる手法である。ABCとも呼ばれるこの手法はこうした共通原価に着目した原価計算とも言える。管理業務中心のゼネコン向けの管理方法である。
 その詳細はここでは説明できないが、インターネット上にも色々と解説があるので調べてみてほしい。参考書としては『図解 ABC/ABM(第2版)』などがある。

製造業の顧客開拓には展示会。建設業の顧客開拓にも展示会。

20060807001  すごしやすい季節には展示会が増えます。関西でも中小企業総合展の開催日が近づいています。最近は建設業だけでなく製造業種の中小企業にもよくお邪魔をします。皆さん色々なお悩みをお持ちですが、中に向いているか外に向いているかで経営者の印象も変わってきます。外に向いている人はやはり意欲的であり貪欲であるような気がします。
製造業で新規顧客開拓に有効なのはやはり展示会。インターネットもいいのですが、見込み客で決定権を持つ年齢層の人はやはり会場まで足を運びます。最近はこうした展示会への出展について助成する自治体も増えてきているようです。
さて、建設業ではどうでしょうか。もちろん建材展や全国的な住宅メーカの展示会はありますが、地場に根付いた工務店が顧客開拓のために展示会を利用する・・・これはピンときませんが、その理由は工務店は展示会を「利用する」のではなく「開催する」立場にあるからです。地元の施工物件を会場にできれば最適ですが、通常重機置き場にしている箇所に特設会場を作成してもかまいません。自社の施工物件の特徴をふんだんに盛り込んだ「製品」をPRするために展示会(というよりも現場見学会)を開催して多くの見込み客を集めることで1つ有効な販促手段となります。

※ひまわりの写真は内容とは関係有りません!

中小企業診断士全国オフ2008 in 札幌

 開業以来毎年参加させていただいている中小企業診断士全国オフが17日・18日に開催された。20080518007 場所は札幌・小樽。毎年参加していることに自分なりの理由がある。情報交換や人脈形成もそうなのだが、1番の理由は「報告させていただく」ためなのだ。実はここでよい報告をさせていただくために1年間がんばっているといっても過言ではない。
 相変わらず人見知りが激しくうまくコミュニケーションが取れていないような気がする中、二日目の午前中には近況報告で5分ほど時間をいただく。この5分のために1年間があるような気がしている。
 そして皆さんの話を聞いて1年間がんばるための元気を頂戴している。
 来年は岡山・倉敷での開催。来年の報告のためにがんばっていきたい。

『はじめてのマーケティング100問100答』

 「マーケティング」を定義しようとすると難しい。自分も中小企業診断士の受験生時代に参考書を使って勉強したりしたが、実際に診断士として活動しているなかでは試行錯誤の連続で学術的な「マーケティング」と連動していると考えたことはあまりなかった。そうした意味で今のマーケティングの潮流と実践ノウハウ本はどんな感じになっているのかを知りたくて少しマーケティング関係の本を読み漁ろうと決めた・・・といってもコトラーの新しい版をじっくりと読んでいる時間も無いので最初はボリュームの軽そうなものから。
 『はじめてのマーケティング100問100答』はマーケティングを1から勉強したいという人向けではない。体系だった説明もない。しかし少しマーケティング関係に携わった人がふと思った疑問を解決する手段として良い書籍であると感じた。私自身、訪問先の企業で実践した手法とリンクした学術的な知識も得られた。なんでもかんでもWebと関連付けて片付けてしまおうという手法が多い中、BtoBで新規顧客開拓の一番の手法は「展示会への出展」と言い切ってしまうところが私はとても共感した。数時間で読みきれる内容なのでおすすめしたい。

国土交通省のホームページがリニューアル。RSSの配信も。

 国土交通省のホームページがリニューアルされました。フォトニュースやアクセスランキングの表示など見る人に親しんでもらおうと工夫がされています。何よりうれしかったのはRSSの配信です。仕事がら、国交省の発表する記事は定期的にチェックしているのですが、メールマガジンもなくホームページを見に行くしかありませんでした。しかしRSSが配信されてからは自分が使っているRSSリーダーで更新情報は自動で取得してきてくれます。これはとっても便利。・・・でもよく考えたら国土交通省のRSSを購読してチェックしている人って他にどんな人がいるのでしょうか???

公共事業の評価書

 国土交通省より個別公共事業の評価書が発表されています。これは公共工事によって得られた利便性向上などを貨幣換算して投下費用などと比較しているものです。費用対効果を比率で表していますのでわかりやすい評価内容となっています。
 企業が何か投資する際にも費用対効果を分析する必要があります。単純に回収期間や収益率を見たり、財務会計の教科書的な方法では将来キャッシュフローの現在価値を考える方法などがあります。
 この評価書をみて気になるところがすべての公共事業において効果の貨幣換算額が投下費用を上回っていることです。投資にはリスクが伴いますので当然思うような効果が得られない結果になることも少なくありませんが、この評価書を見れば100%投資効果が費用を上回っているという結論になります。ちまたでは不必要な道路が多すぎるとの声も聞きますがそのギャップはどこにあるのでしょうか?(おそらく貨幣換算する際の評価数値なのでしょうが・・・)
 道路などでは1日あたりの交通量と目的地までの短縮時間などを貨幣換算したりします。おそらくは交通量。ここに大きな誤差があると推測しています。そうした部分には第三者からの客観的評価が必要になってきます。

 評価書の内容はともかく、企業内部における「評価」の作業というのはないがしろにされがちです。
 「昨年かったユンボは計画通り稼動しているか?」
 「こないだ導入した情報システムはきちんと稼動しているか?」
 一度評価してみることをおすすめします。

 

IKEA行ってきました

 いま関西では神戸にできたIKEAポートアイランド店が話題なのですが、GW中は相当な混雑が予想されたので昨日行ってきました。賑わいは平日あの場所では考えられないほど活気がありましたがそれはオープン間もないということが大きく寄与していると思います。以下が率直な感想です。

 ・仕組みがわからない
相当な低価格で商品を販売できる理由として「セルフサービス」を取り入れているというのはテレビ番組などで紹介され知っていましたが、実際に店舗に入ってみれば確かに店員さんは非常に少ない。どこにでもある量販店やショッピングセンターとは比べ物になりません。そのため、聞きたいことが聞きたいときに聞けない・・・店員さんが少ないことがサービスの低下につながっては意味がありません。POPなどを多く設けて顧客の疑問を解決する別の手段を講じる必要があります。

 ・案内がわかりにくい
今回、駐車場に止めた車のライトがつけっぱなしだと場内アナウンスで教えてもらいましたが・・・駐車場に戻る方法がわからない。これも普通の店舗だとありえませんが、IKEAの場合顧客の動線をほぼ完全に一方通行となるように考えられています。駐車場からエレベーターやエスカレーターで降りてくるとそこはお店の入り口です。(出口ではありません。)途中のフードコートで食事をしている最中だったのですが、動線に従った案内(「出口」向きの矢印)しか見つかりませんでした。
また、駐車場から出る際には「三宮・大阪方面」の案内に従ったつもりなのですが広い駐車場を一周して元に戻ってきてしまいました・・・(ちなみに以前ario鳳でも同じように出たい出口に出られないことがありましたが、駐車場の案内は自分にとって不親切な場所が多いです。もちろん自分の理解力も乏しいのでしょうが・・・)

 ・在庫切れが多い
IKEAは商品展示(2F)してあるものの名前や商品コードをメモし最後に倉庫(1F)に自分で取りにいく仕組みです。在庫切れは倉庫に行ってみなければわかりません。(もちろん、店員にきけばわかるのでしょうが展示されて自分がほしいと思った商品をいちいち聞くわけにもいきません・・・)自分がほしい商品のほとんどすべては在庫切れでした。これもどうかと思いましが、何より「それなら別の商品を・・・と商品展示している箇所に戻ろうにも動線の問題があって逆戻りしにくいのです・・・)
在庫切れはGW明けだからかもしれません。あの動線の仕組み上、商品展示(2F)で在庫が一目でわかる仕組みがほしいです。

 ・返品システム
「気がかわったら返品してください」これはIKEAの店舗いたるところにある売り文句ですが、返品カウンターが存在することとその場所に対する案内は見つかりませんでした。総合案内の後ろにも同じような文句が大きく掲げられているにもかかわらず、「ここではありません。あちらでお願いします。」との対応。広いので移動も大変です。
あと気になったのが返品理由を聞かないことです。これではせっかく返品というクレームに近い情報が有効に活用することもできません。
ちなみに私も今回1品だけ返品しました。それは商品が思っていた値段と異なったためです。IKEAの商品には値札が貼ってありません。陳列棚に表示されたものの価格を見るしかありません。違う陳列棚にあった商品をその価格と思い込んでいたのですね。しかし間違いに気づく場所はレジのところなので時既に遅しということで返品カウンターに行ったわけです。

 「合理化を進め過ぎて顧客サービスが低下する。」

 販売されている商品は良いものもたくさんあったのですが、上記の理由により満足度はかなり低かったのが残念です。在庫切れだった商品を再度買うためにもう一度行く・・・ということはおそらくありません。

建設会社の新入社員、五月病回避にオススメ

 GWもあけてちょうどこの頃、新入社員も新人研修を終えて配属される時期である。しかし建設会社に入った動機(建設現場でのものづくり)も薄れがちな時期でもある。少し早すぎるかもしれないがモチベーションを失いかけた人にオススメで簡単に読める本が『新入社員のための「工事実践」入門 改訂版―建設はこんなにおもしろい (建設業ポケット実務シリーズ 8)』だ。価格も手ごろで専門用語には解説をつけて簡易な内容となっている。しかし現場事例を交えた話は失いかけたヤル気を思い起こすには十分な内容だ。
 そんな新入社員に一冊ずつ配ってみてはいかがだろうか?