セコムと住生活グループの「トータルライフパートナー(仮称)」事業

セコムと住生活グループが双方の強みを活かしたサービス「トータルライフパートナー(仮称)」事業で提携したとの発表が今月初めにあった。

セコムはホームセキュリティにより安全安心を提供、住生活グループはブランドLIXILにより幅広い建材の提供と設置のための工事店のネットワークを持つ。新サービスでは安全対策や修繕・リフォームに加え、医療・介護サービスまで様々な「困りごと」に対応するとのことであった。

共同のコールセンターを設けたり、提携したうえでの新しい住宅建材の開発など共同開発にも取り組む話だ。

従来、工務店がリフォームで行ってきたハード面の困りごと解決。ハウスメーカーもリフォームに進出してきたが、ハウスメーカーではなく工務店にこれまで建材を提供してきた住生活グループが提供するサービスであるからその影響は大きい。もちろん対策は真っ向勝負だけでなく、選択肢としてはLIXIL登録店として上述の工事店ネットワークに入ることで受注を確保することも考えられる。そうした工事店ネットワークが拡大することでLIXILの市場浸透率を高めることは当然住生活グループの戦略に入っているであろう。

居住者にとって有益なサービスであることは間違いない。大手のやり方は仕組みの提供であり、中小工務店は仕組みではなく「人」で勝負である。ホームセキュリティは難しいにしても医療・介護事業者との有機的なつながりネットワークでもって満足度を高めることが今後さらに必要になりそうだ。

企業の倫理感に触れ感じるギャップ

経営者としてどうあるべきか。

企業はどうあるべきか。

常日頃からこうしたことに自問自答しながら自己研鑽し、コンサルティングにあたっています。そうしたなか、最近はトイレ掃除で有名なイエローハット創業者の鍵山秀三郎さんの著作を買い集めて読んでいます。

Kagiyama1_2 Kagiyama2  学ぶべきことが多く、私には続きそうもありませんが、ここ数日はトイレ掃除にも挑戦しています。「まずはやってみるか・・・」という気持ちでのチャレンジでした。

掃除をして得られることは多々ありますが、氏の著作のなかではそのうちの1つとして、車が環境に与える影響・負荷を考えれば、その恩返しとして街をきれいにすることも・・・のような記述もありました。企業として社会の一員として共存していくためにとても大切な倫理感であり、自分もそうありたいと感じました。

鍵山氏の著作を読みながらふっと思ったことがあります。「そういえばイエローハットはカー用品店やなぁ」。私はカー用品店に並ぶ数多くの商品の中で、これは世の中に必要ないだろうと思っているものが1つあります。(もっとあるのかもしれませんが・・・)それはレーダー探知機。メーカーは暴走など違法行為を助長するものではないとの言い分でしょうが、所持事態を違法としている国があることからも、それは非難を避けるための言い訳にすぎません。

大手のカー用品店では専門ブースまで設けて様々な探知機を販売しています。これまでイエローハットに行ったことがない私は「もしかして、イエローハットではこうした不用品は売ってないんかな??」と思い、今朝仕事の合間に訪問してきました・・・

・・・私にとっては残念な結果でしたが、ここで「言うてることとやってることが違うやん」と端的に言ってしまうのは短慮のような気がしています。私の無知もあるでしょう。

まだ買い集めた氏の著作は3冊ほどあります。もっと学びを深めてこのギャップに対する自分なりの着地点を見つけたいと思います。

「がんばろう ふくしま!」応援企業として福島県から委嘱状をいただきました

Imag0029_2  「がんばろう ふくしま!」応援企業として福島県から委嘱状をいただきました。

安田コンサルティングではネットショップの売上の2割を被災地に寄付させて頂いています。2か月前から寄付先を日本赤十字社から福島県に変更しました。その際に、応援企業としてのエントリーシートがあり申込みしたところ委嘱状が届いた次第です。

社員研修や旅行等ではなかなか貢献できませんが、食材等についてはこれから福島県産にこだわっていきたいと思います。

企業として社会貢献に参加できることに喜びを感じるとともに、参加させて頂ける源をいただいた顧客、協力会社、家族に感謝します。

新規事業の事業計画・・・絵だけはだれでも書けます

とある建設会社の新規事業計画を策定する支援を行いました。公共色の濃い工種で公共工事の減少により厳しい経営を強いられています。そうした中、既存事業と関連のあるビジネスを見出し、新たな事業の柱として立ち上げていきたいとの意向で計画策定をお手伝いさせて頂きました。

Phm04_0998 ※この写真はイメージで記事内容とは関連がありません。

新規事業を行うにあたっては本業(既存事業)との関連は重要な要素です。そして本業を継続しながらという形態が安全性を高めるうえで推奨されるなか、問題点をあげるとすればマンパワーの不足と計画の遂行意思の継続でしょう。

特に新規事業は立ち上げ段階に多くのパワーを要します。しかし本業が忙しくなるとどうしても二の次、後回しにしがちです。そうした場当たり的な対応にならないためにも計画は必要ですが、計画を立てるだけなら誰でもできます。その計画通り遂行できているかのチェックと計画の見直しまでのサイクルをまわすことが重要と言えます。

今回の企業の計画の肝は販路開拓です。公共から民間へ全く異なった市場へのアプローチ。しかしこの壁を乗り越えれば多くの事業展開が期待できる魅力ある市場と営業ノウハウ・経験を手に入れることができます。

今後も経過を見守っていきたいと考えています。

『建設産業の再生と発展のための方策2011』

国交省建設産業戦略会議よりこの6月に『建設産業の再生と発展のための方策2011』がとりまとめられ提言されました。

128_2  「建設業しんこう」や「全建ジャーナル」などでは、国交省土地・建設産業局建設業課より概要説明が掲載されています。

方策の中では建設業界が直面する課題として以下のものがあげられています。

  1. 地域社会の維持
  2. 技能労働者の雇用環境と社会保険等の加入状況
  3. 重層下請構造
  4. 技術者の育成と適正配置
  5. 公共調達市場と受発注者関係
  6. 海外建設市場への積極的進出
  7. 過剰供給構造
  8. 新たな事業分野への展開等
  9. 東日本大震災

もちろん建設産業全体での課題ですので何も建設会社だけをターゲットにしたものではありません。しかし現状及び将来、すべての建設会社に影響を及ぼす課題であることは共通認識にしていいでしょう。しかし3.重下請構造などもう何年も前から課題として取り上げられている事柄もあります。競争力を高めるために合理化をすすめたあまり、「持たざる経営」が重下請構造を生んだといっても過言ではないでしょう。

実施すべき提案としてあげられているものは以下の通りです。

  • 対策1 地域維持型の契約方式の導入
  • 対策2-1 保険未加入企業の排除
  • 対策2-2 重層下請構造の是正と施工力のある企業の育成
  • 対策3 技術者データベースの整備と業種区分の点検
  • 対策4 入札契約制度改革の推進
  • 対策5 海外展開支援策の強化
  • 対策6-1 過剰供給構造の是正と不良不適格業者の排除
  • 対策6-2 新たな事業分野への展開等
  • 対策7 東日本大震災を受けた特別の対応

対策2、5、6あたりは個々の企業にも大きく関係するところです。施工力を高め優位性を確保するか新しい市場又は新しい産業に展開するか、企業が取りうる選択肢はここに網羅されているように思えますが、大切なことは企業としての肝のところです。経営理念により企業の目的が表され、方針ビジョンによって進む方向が示されなければ、こうした対策の枝葉を見て右往左往することになります。広い視野になって「建設会社」ではなく1つの「企業」としてビジョンを立ててほしいものです。

方策の資料(PDF)は30ページ程度のものです。是非皆さん、ご一読ください。