建設業界の人手不足の影響が深刻に

Photo 建設業界の人手不足が深刻になっています。

左のグラフは建設技能労働者の過不足率の調査(国交省)結果から作成してみたグラフです。

3月までは過剰であったものが7月から不足に転じ、8月は2.1%の不足となっています。

震災の影響で建物の補修需要が急増したからと昨日(9月28日)の日経新聞夕刊のトップ記事にありました。

その他の建設業界の雑誌でも同様の問題が取りざたされています。日経ホームビルダーの記事では高知県の工務店で下請だった基礎工事業者が工事依頼があったにもかかわらず連絡もなしで東北に向かってしまったとの話です。

特に職人・渡り鳥・一匹狼の色が濃い工種はこうしたことが起こりやすいでしょう。被災地の職人需要を鑑みて仕事がある地域に移動したくなる意識もわかります。

ただ、今後5年、10年、その先を見据えての行動が必要です。企業活動は「永続」を意識した活動が大切。これまで基盤を厚くしていた地元を捨てて行動するのは良くない。永続・利益確保のために一時的な拠点移動はやむを得ないとしても。そのため、これまでの地元業者(発注元や元請、協力業者)の理解を得ておくことが大切でしょう。

大阪府中小企業家同友会かんくう支部における勉強会でインターネットについて話してきました

Dscn3342 今日は私が所属する大阪府中小企業家同友会のかんくう支部にて初めて行われた「串団子勉強会」にて講師の一人として話してきました。

テーマはインターネットでの販路開拓について。持ち時間30分という短い時間で、選択肢の増えるインターネットサービスをどう取捨選択して活用すべきか話してきました。あと30分あれば仮説設定と検証についても話ができたのですが、これはまたの機会へと。

1回目ということで開催にこぎつけた達成感と多くの反省点が残りましたが、それは会のなかでよりよいものにブラッシュアップしていきたいと考えています。

また、この勉強会は会費は無料にして震災義援金を募りました。こうした活動を通して復興に貢献できることをとても幸せに感じています。

隣の空き地で始まった住宅建築工事・・・営業機会損失とクレーム

こちらの事務所(賃貸マンション)の隣は住宅用地として空き地になっています。今日から「突然」工事が始まりました。分譲中と書いた看板からすると販売者は大手S社。

「突然」と書いたのは工事着工の際に工務店などは必ず行うべきである近隣住民への挨拶まわりと工程説明が無かったから。

この挨拶周まわり。工事の騒音や重機の出入りで少なからず付近に負担を強いるため、その配慮として行うものですが、もう1つ、営業的な目的もあります。どういった工事を行うのか説明するとともに、その工事が必要となった理由、自社の施工の特徴、相手側の希望によってはその価格まで「説明」という名の重要な「営業」機会なのです。ある。

空き地の別隣りは戸建て住宅。そちらの方には挨拶まわりにいったのかもしれない。で、「こっちは賃貸マンションだからまぁいいか。」なのかもしれない。

Phm11_0229 でもそれはあまりに短慮。戸建住宅の住民に新しく家を建てる工事の説明をしても仕方がない。潜在顧客はあきらかにこちら側の賃貸マンションの方が多いに決まっている。もちろん発せられるクレームの数も同じ。

「S社ってそういう仕事をするのか・・・」とささいなことで悪い方のレッテルが貼られてしまう。

反面教師として「見習ってはならない」。今度の建設業経営セミナーの雑談で使おうかな・・・

建設会社の借入返済・資金繰りについての相談

Phm01_0396 「借り入れが減らないんです。」

これが今日の相談。もう何年も返済と新たな借り入れを繰り返している。借入金を減らすための方策は2つしかない。1つは返済。もう1つは放棄。もちろん2つ目の方策は最終手段でもある。

返済を毎月行っていると1年程度で貸付限度に余裕がうまれる。セーフティネット貸付で信用保証がつけば金融機関は借入を提案してくる。安易にのれば一向に借入は減らない。

「借りておけるうちに借りておかなくては・・・」という経営者の声。それをまったく逆手に取れば、「借りられないときがくる可能性がある」ということである。返済と借入の堂々巡りを断ち切らなければ自転車操業は止まらないのだ。

今日の訪問先企業は建設会社。個々の工事では積算や工程管理の精度が高く、きっちりと予算を守って粗利を確保している。しかし資金が足りなくなるタイミングがある。それは公共工事がひと段落する新年度早々の頃である。根本からの改善を提案しても実現性や即効性が低ければ優先順位を下げて、目先の対応も必要である。この企業の場合、利益はでなくてもいいから、春先の資金需要に耐えうるだけの工事を最低限確保することだ。しかし工期が長ければ入金のタイミングがずれる。春に入金を得ようとその前から工事に着手すれば繁忙期の年度末と重なる。とすれば小口の工事。そして支払いサイトが短い民間・個人向けの工事が一番いい。

当社の場合、民間工事に関しては営業をまったくしておらず依頼があった工事のみ対応しているとのこと。また長年得た信頼から、工事の繁忙期にきた依頼を閑散期に移すなどの依頼にも応じてくれるとの話であった。しかし前述の春先の資金需要を補えるほどではないとのこと。

それでは・・・営業しなくても工事を依頼してくる上得意先の数を必要量だけ増やす営業が大切となる。これは春先にするのではなく、工事の着工は春先。それでもいまのうちから発注してくれた場合のプライオリティを顧客に与える。もちろん着手金などは契約時ではなく着工時にしなければ顧客の不安を誘うだけである。

営業下手な経営者に「営業するとよい」といってもしり込みするだけである。今まで通りの工事を行う傍ら、例えば工事の開始時にするご近所へのあいさつ回りのときに、工期の説明に加えて工事内容とパンフレットを渡すぐらいでかまわない。もちろんそれだけでは足りない場合もあるが、地域密着で知名度抜群の当社の優位性と、訪問先の地域性を考えれば、これで効果が得られるものと考えている。「営業のための訪問」ではなく、「ついでに営業」と考え、必要な営業ツールや営業トークを予め準備しておくことも大切である。

これで追加借り入れが不要になり、借入金が徐々に少なくなれば、金利負担も減ることから収益性も改善していくのである。実行には課題も多いが、借入依存体質から脱却するために今後も支援していきたい。

台風で被災した工場の復旧作業を手伝ってきました

いつもお世話になっている方の和歌山工場が台風で被災されたので、昨日はその復旧作業を手伝ってきました。

お手伝いに行く前、お手伝いの最中、お手伝い後、それぞれに色々な気づきがありました。

お手伝いに行く前

実はその方の工場が被災されたことはfacebookで知っておりました。大変だなぁと思いつつ・・・言うなれば完全に他人事です。そののち、別の方からメーリングリストに復旧作業のお手伝い募集との案内が。それで復旧作業に行くことに決めました。

自分として残念だったのは、facebookで知ったそのときに、反応できなかったこと。まだまだ行動力が足りません。すぐに気づき、すぐに行動することの大切さを反省も含めて再認識しました。

お手伝いの最中

工場の床から数メートル上まで浸水したそうです。壁についている汚れのあとがそれを証明しています。自然の脅威を感じました。道中も被災した住宅や橋など多く見かけました。皆が懸命に復旧作業にあたっています。

私はといえば、完全に衰えきった体に鞭打って、工場内に堆積した泥を出す作業や、機械に付着した汚れを落とす作業を手伝いました。開始10分で腰が痛くなる始末。どうなることかと思いましたが、なんとか最後までやりきることができました。

至るところで○○建設とか■■土木といった会社名のついたダンプ、ユンボなど建設重機が活躍しています。復旧作業をしている近くに支援させていただいている企業もあります。「きっとあそこの社長も走り回ってるんだろうなぁ・・・」と思いつつ、復旧作業に圧倒的な力を提供できる建設会社の社会的な有用さを痛切に感じました。

お手伝いに行った後

Sw181_l 帰ってきたら、お風呂が沸いていました。そしてキンキンに冷えた生ビールをいただきました。行く前から「被災した工場ってあんたまだ土砂ダムがあったりして危険なんと違うん??」と心配をかけながらも元気に送りだし、そして迎えてくれた家族に感謝です。

お手伝いの最中に沢山の「ありがとう。ご苦労様」の言葉をいただきました。その半分を家族に「ありがとう」と伝えました。感謝されるのは自分の努力もありますが、その努力を可能としてくれた周りの人々の支えがあります。それに気が付かなくては独りよがり、自分勝手な行動でしかありません。

こうして色々な気づきを頂きました。私の方からも「ありがとう」という気持ちでいっぱいです。

複数の作業を進める際の注意点

本日も経営支援のため企業を訪問してきました。

Phm09_0950 新規事業開発をプロジェクトチームで進めていってます。作業工程の確認では個々の問題よりも全体の組み立てのなかで進捗を確認します。

今日は打ち合わせの中で「○○が終了後に行います。」という言葉がいくつか。この「○○」は前工程を表しているのですが、複数人がその「○○」が終了するのを待っている状態。すなわちボトルネックになっていることにみんなが気が付いていませんでした。

そこで以下の点を確認。

  1. 「○○」はいつ終了するのか具体的な日程を確認する
  2. 「○○」の途中段階で次工程にいけないか確認する
  3. 上記が「Yes」の場合は「○○」工程を細分し、細分化された各工程の日程を確認し、次工程の開始日に反映する

期限が確定している工程の中で、クリティカルパスに余裕がないことも判明しました。クリティカルパスを遅らせないように、人、設備、資金といった面で不足・負担の偏りが無いように新たなチェックが必要です。

チームの中に工程管理の担当がいればいいのですが、少人数で各自担当作業があるとどうしても自分の作業に没頭しがちです。こうしたときは私が工程管理も担当します。

ゴールは間近。ラストスパートで乗り切ってほしいものです。

東京、福岡の建設業経営セミナーにて大いに語ってきました

13日の東京、14日の福岡と建設業向け経営セミナーで大いに語ってきました。

Ab127_l 多くの企業を見てきました。業績が思うようにあがらず経営に行き詰っている経営者も多く見てきました。セミナーではそうした企業に見られる共通項から「負け組10か条」と少し強烈なキーワードをつけて話をさせていただきました。

しかし、その10か条を集約すると本当の負け組要因が1つ見えてきます。それがこの歯車の写真に関係しています。

大企業は仕組みで動く。中小企業は人で動く。何て事が何年も前から言われていますが、この時代それではダメです。

歯車の仕掛けは通常動力は1つ。それがダメ。

皆が「独立した動力をもった歯車」でなければなりません。そして自覚が必要。何の自覚か?

それはその歯車で回しているものが目の前の仕事や部門の作業、あるいは会社といった小さく閉じたものではなく、世の中そのものを回しているという自覚です。

経営者はもちろん、社員、パートさん、協力会社、得意先までをまきこみ個々の一人一人がしっかりと自覚する。

この自覚ができていないと負け組になってしまう可能性が高い。では経営者も含め全員が自覚するためにはどうしたらいいか?

自分がいまやっている仕事が世の中を動かす歯車の動きになっているか?そう感じられなければなりません。そのためには経営理念が社会と企業との関係を記す必要があります。「社会に貢献」、「社会をつくる」といったものです。これができていないのが負け組10か条の1つめです。

ほかにも9つ、すべてこの自覚のためにやるべきことを語ってきました。

経営者や社員が何かに気づき、自社に持ち帰って何かを変えてもらえれば私の理念にも近づき、これほど幸せなことはありません。

中小建設業のための技術マッチングデータベース

Imag0055 『建設業しんこう』を読んでいましたら、建設業振興基金が8月1日より技術マッチングを開始したとの記事を見つけました。
※リンク先には今日現在8月号までしか掲載がありません

「中小建設業のための技術マッチングデータベース」

これは特許技術、工法、建設資機材等の情報登録者と利用者をつなげようとするものです。利用料は無料です。

まだ始まって間もないということか登録技術は全部で30件弱です。

こうしたマッチングサイト。実際はなかなか難しいのです。それは構成が『登録者、利用者が積極的に参加する』ことを前提に作られているからです。登録者は売り手ですからまだいいのですが、買い手側の積極性を保つためには仕組みが必要です。

例えば、マッチング事例の掲載、利用促進のための特典付与、新たに技術登録があったときのメールマガジン等でのお知らせ機能などです。

新技術情報を提供するものとしてはすでに「NETIS」があります。知名度が高く業界内でもNETISのことを知っている人もある程度います。

同じ国交省管轄の事業。どう差別化するのか、どう活性化するのか、今後が楽しみです。

気が付く心と気が付く仕組み

鍵山秀三郎氏の『掃除道』などの著書を拝読して、掃除をすることで「気が付ける人」になるとありました。それ以来、毎日ではありませんが事務所、トイレや家のお風呂など少し頻度をあげて掃除をするようにしています。いままで気づきもしなかったところが汚れています。そしてその汚れは手元にある掃除道具では掃除できない。工夫するか道具を調達するか。そして掃除がいきとどききれいになる。この汚れの気づき。ささいなことですが、磨くことで仕事に必ず役に立つと思っています。

Phm01_0089 先日、家の整理をしていましたら、スケジュールを記入する小型ホワイトボードが出てきました。これは事務所で使おうと今月9月から外出予定だけ書きこみました。予定は手帳を見れば全部書いてあります。ホワイトボードに書いても予定を共有すべき人がうちにはいないため二度手間、ムダのように思いますが、目に触れる頻度をあげることで気づくことが多くなりました。例えば、今度の水曜日の出張。1つまだ確認できていないことがあり、出張先に問い合わせのメールを先ほど出しました。今までの私でしたら前日まで気が付かなかったでしょう。

「気を付けよう」は誰しもが思うこと。しかし思うだけで改善はされません。その「気が付くようにする」が『掃除道』であり、自分は変わらなくても気が付く仕組みにしてしまうのが『ホワイトボード』です。両方からのアプローチが大切だと気が付いた一日でした。

おいしいコーヒーで経営革新??

経営革新計画の申請である企業を支援しています。

Sw085_l ※ちなみに申請内容は「おいしいコーヒー」ではありません。例えです。

今回の支援における象徴となったキーワードは「満足」です。相手を満足させる新商品の提案。

数値化できる性能・性質の向上を目的として新製品を開発して経営革新・・・というのはわかりやすいのですが、それは客観指標をベースにしているからです。数値化できるものはほとんどの場合、誰が測定してもだいたい結果は同じです。

それでは「おいしいコーヒー」ならばどうか。ティスティングすれば確かにおいしい。でも「おいしい」という主観要素は数値化することが難しい。もちろんそのコーヒーの成分を分析すれば今までのコーヒーと何か違う要素が現れるだろう。それでもその要素が「おいしい」につながっていることを客観的に立証することが難しいし、そもそも「おいしい」は味そのもの以外に、「誰と飲むのか」、「どこで飲むのか」、「いつ飲むのか」といった味以外の要素もからんでくるからだ。

経営革新申請にあたっては窓口の人が申請者から聞いた話、計画書をもとに審査会で説明する。申請者が「おいしい」といっているものをさらに別の人に説明しなければならない。窓口担当者の人が説明しやすいように文献や資料を用意する。「どう説明するか・・・」と頭を悩ませている。主観をどう客観的に説明するか。

まるで、女性が素敵なアクセサリーを見て、「これ、かわいい!!」と発言するのを受けて、横の男性が「どう、かわいいのか数値で示して!」と言っているようです。

申請が受理されるまであと少しのところまできた手応えがあります。申請者ともどもがんばっていきたい!!