和歌山大学講義録その4

Phm01_0909 27日に4回目の講義を行ってきました。

経営情報システム

今日から企業における各業務に関する情報システムの話です。最初はやはり売上系がわかりやすいので「販売管理システム」です。「まずは『なぜ「販売」を「管理」しなければならないのか。』を理解してもらうために「販売」の流れから説明します。通常商取引といってもコンビニ等でモノを買うことだけでは見えてこない流れがあります。見積、受注、出荷、請求、入金と大まかに分類してそれぞれの管理ポイントを説明しました。それを年間数百~数千していけばどうなるか・・・ITを活用したくなります。だから販売管理システムがある。という流れで進めました。
さらに販売管理システムにはいくつもパッケージ商品があるが、どういった企業がパッケージを利用して、どういった企業が利用してはいけないか。ということを問いかけました。これは前回までの講義の復習です。パッケージ商品を使うのは特異な業務体系ではなく効率化を推し進めたい場合。すなわち販売業務自体が企業の競争力になっていない場合です。通常の小売店などがそれにあたります。しかしアスクルやアマゾンなど販売業務そのものに企業の特徴がある場合。そこにパッケージをあてこんでは優位性がなくなってしまいます。これは大手だけの話ではありません。

ソフトウェア工学演習

前回のプレゼンテーションの続きからです。自社が提案するシステムがいかに魅力的かをPRするのですが、あるグループがシステムだけでなく業務改善の域まで踏み込んできました。付加価値性の高い提案です。話をきいていてとてもうれしくなりました。システム導入においてBPR(業務再構築)をしなければそれは失敗を表します。BPRに踏み込んだ提案がベンダーには必ず必要になります。
演習の後半は設計の最初の段階。ユースケース図の作成です。ユースケースの列挙とアクターとの関係を表します。図としてはシンプルで理解性も高いため、実はインタビューやヒアリングの場で顧客と一緒に書くことで要求獲得の精度が高まることもあわせて伝えました。

『今日あなたが無駄に過ごした一日は、昨日死んだ人がどうしても生きたかった一日である』

Imag0069 車のダッシュボードにおいておき、いつも隙間時間に読み進めていた「日本語の作法」をようやく読み終えました。

読みやすいエッセイでしたが、著者がどこかから引用した次の言葉がとても心に残りました。

『今日あなたが無駄に過ごした一日は、昨日死んだ人がどうしても生きたかった一日である』

人生の中で無駄なことなど1つもないと思っています。しかし自分が無駄だと”あきらめてしまう”とそれは本当に無駄なのかもしれません。

だから、無駄に過ごさないためには1日、1日を諦めないことが大切だと思います。

目標を達成できなくても1ミリでも進む。あるいは全く進めなくても、いつか進むためのエネルギーを貯める。

風邪でへばって1日寝て過ごす。それでも自分が風邪になったわけと、そうならない予防策を考えてみる。あるいは昨日と違った1日をあえて楽しむ。

ダラダラとマンガを読みながら1日を過ごす。でも「読みたかったマンガが読み終えてよかった」と満足する。そしておもしろかったところを明日友人に話して相手を楽しませる。

人が「えらい!!」と褒め称えるような1日は過ごせなくても、「無駄」に終わらせないことはどのようにでもできます。

幸か不幸か、自分に甘いだけか、生まれてこのかた、無駄に生きた1日は無かったように思います。これからもそうありたいし、そうできるように準備しておきたい。

和歌山大学講義録その3

先週の木曜日に行われた第3週の講義の記録です。4週目が明日に迫って、追われての投稿です。

1.経営情報システム

企業が情報システムを導入するにあたって検討すべき内容を伝えました。

例えばパッケージにするかオーダーメイドにするか。値段や自由度にそれぞれの特徴の違いがあります。パッケージでは多くの企業のノウハウが蓄積・凝縮されているのでいわゆるベストプラクティスの恩恵が得られるメリットもあります。すなわち汎化すべき業務にあてこむのはパッケージがよく、会計業務や給与計算などはそれにあたります。逆に企業の競争優位性に関わる部分(汎化ではなく特化すべき業務)にシステムをあてる場合はやはりオーダーメイドでより競争力を高める仕組みを構築すべきです。あくまで一般論ですが。

他にもシステム導入にあたって必要でかつ不足しがちな経営資源についてなど、あらかじめ留意すべき点についても話しました。例えば資金については初期投資と運用に要する費用があり、情報システムのライフサイクル全体に渡って必要となる経費はTCOと呼ばれ、初期費用の4~5倍になることが多いことなど。

2.ソフトウェア工学演習

前回、要求獲得でインタビューをロールプレイしました。その内容を共有するためにマインドマップ形式でまずは記録作成。

そしてどのようなシステムがいいか検討してもらい、A4一枚程度のプレゼンシートを作ってもらいました。制約のあるプレゼン環境で自らが検討したシステムがいかに魅力的なものかPRします。プレゼンシートをもとに各グループの代表がプレゼンを実施。プレゼンシートの内容とプレゼンそのものの内容で改善点を指摘。これから人前で話す機会が増えてくる受講生にいい練習になったのではと考えています。

経営者のPDCAサイクル

Dl199_l 先日、大阪府中小企業家同友会かんくう支部の例会に参加してきました。

参加者同士のグループ討論で、経営者自身のPDCAサイクルをどうするかという話になりました。企業としてのPDCAサイクルは経営者などの管理のもとで遂行されます。しかし、企業のサイクルではなく、経営者自身のPDCAサイクルを着実にまわすにはどうしたらいいのでしょうか。

サイクルを回す原動力は2つあって、自らのものと外的要因の力が働く場合です。経営者は自身のPDCAサイクルがまわっていなかったとしても第三者から指摘を受けることが少ないため、遂行できず先延ばしにしても文句を言われません。

対策として以下のようなものが考えられます。

  • 企業は株主のものであるから、経営者と株主が別であれば報告義務が生じ、それがPDCAサイクルのチェック機能となる。(中小企業の多くが株主=経営者であることを考えると必ずしも大多数に有効というわけではない)
  • 株主でなくても取締役会がその機能を果たす。(取締役が一人で取締役会が設けられていない企業も多い)
  • 株主でなくても、社員、協力会社、あるいは家族などにP(計画)をオープンにし、実行を宣言する。
  • 社外の経営者同士がお互いをチェックし合えるような仕組みを構築する

最後の相互チェックの仕組みは同友会内の多くで実行されていることです。私自身も経営指針成分化セミナーの完了後に同期の経営者の方と仕組み作りをしていきたいと考えています。

そして、忘れてはならない対策がもう1つあります。

  • 中小企業診断士、コンサルタント等の外部専門家をチェック機能として利用する

これは私自身の重要な職務でもあります。経営者のPDCAサイクルを回す大きな原動力となっていくサービスを提供し続けます。

和歌山大学講義録その2

今日は和歌山大学での講義担当日です。先週から始まって今日で2回目。経営情報システムとソフトウェア工学演習を担当してきました。

1.経営情報システム

今回は他の回とは毛色の異なるテーマで「技術者倫理」です。東電の原発問題をはじめ、様々な事例を交えながら技術者倫理について意見交換をしました。今回の講義は知識の詰め込みではありません。技術者、一人の人間としてどう行動するべきかをその場で考えてもらう時間でもあります。個人の問題に落とし込んだときに、きれいごとでは必ずしも片付けられない問題に直面します。そのときに「きれいごと」の方で決断できるために必要なことは「強くなる」ということです。屈しない力。屈しなくても大丈夫な環境づくり。そのために今からできることを準備しておくことです。

スペースシャトル、チャレンジャーの事故についてOリングの話題が技術者倫理でよく題材にされます。今日少しショックだったのが、受講している学生さんがまだ生まれていないときの話だったことに気がつきました・・・

2.ソフトウェア工学演習

要求獲得のためのインタビューの準備とロールプレイングです。予め質問(できれば想定される回答も)を準備しておき、インタビューにのぞみます。その際に一番大切なのは相手に対する配慮です。二度手間にならぬよう聞き漏らしがあってはいけません。そうならないために思いつきで質問項目を挙げるのではなく、抜けがないかチェックしながら行うことが必要です。チェックのモトは色々考えられますが、いつもソフトウェアの品質特性(ISO9126)を説明しながらチェックに活用してはと提案しています。他にも相手に対する配慮は必要です。質問項目は挙げられても質問の方法は様々です。YesNoで答えたり自由回答を求めたりと。そのなかで工夫しながら質問方法にも配慮してもらいます。あと相手に見通しをたててもらうこともすぐに実践できる配慮の1つ。質問の数やおおよそのインタビュー時間などはあらかじめ提示しておく・・・などなど。実務上のコツに近い要素が多かったように思えますが、教科書で伝えられないことを伝えるのが任務なので、これでいいかと自己満足しています~。

利益は顧客の喜びの対価。そしてその利益をどう使うかが重要です。

東日本大震災があってから毎月ネットショップの売上の2割を寄付するようにしています。さきほど今月の寄付の振込み作業を終えました。

振込み金額は今回は少なめです。ネットショップをもっとがんばらねばと思います。寄付をしながら売上実績を振り返り反省・対策を練っていけるので、この活動は”自分のために”今後も続けていこうと考えています。

最近、「創業」について意見交換することがありました。経営者として必要なことは永続のための利益を創出すること。そしてその利益は「顧客の喜びの対価」であること。すなわち自らが提供する製品・サービスに見合った金額での提供ということです。安価すぎては「永続のため」の部分が疎かになります。意見交換の際も「企業は利益を出さなくてはならない」というのはほぼ共通意見でした。

次は、「その利益をどうする?」です。永続のために事業に再投資する。社員に還元する。社長ががんばったのだから社長が得る。など様々な意見があります。再投資、還元、両方大切です。私の商売は再投資といっても大規模な設備投資を伴うわけでもありませんので能力開発への投資以外はあまり積極的ではありません。社員も専従者以外にはおりません。だから寄付につながるのですが、社会貢献の意味よりも、実はこれも「永続のため」と考えています。

Au192_l 企業は少なからず社会に影響・負荷を与えながら活動しています。資源の消費はその代表例です。環境的な側面での影響だけではなく、社会全体です。社会に負荷を掛け続けていては、企業が利益を得続ける場そのものが無くなりかねません。場を守りながら商売を続ける。これが永続のためには不可欠です。だから守るための寄付なのです。今は自分が得た利益をそう使いたいと考えています。

経営相談は相談者ニーズの把握と満足度の追求を

経営者からの相談にあたる場面が数多くあります。

Cy006_l ※写真と内容は全く関係ありません・・・

相談にこられた方には様々な要求があります。それは情報の場合もあれば、意見の場合もあります。もちろん両方のときも。

創業手続きの方法などは「情報」です。わかりやすくまとめて伝えることと、相手が理解したかを確認することが大切です。

しかし、「意見」の場合は異なります。こちらが伝えるべきことは「○○したほうがいい」であって、それを採用するかどうかは相手次第です。コンサルタントとして、或いは1個人として「意見」を述べるわけです。もちろん、自分の意見・アイデアが良いと思って伝えるわけなので、少なからず「実行してみてほしい」という願いもあります。そういった意味では「こちらからのプレゼン」という要素が強いのかもしれません。ヒアリングによって現況を分析し、他社やこれまでのコンサルティング事例で客観的な情報を織り交ぜて意見の裏づけを確かなものにしていきながら、提案します。大切なのは自分の意見を明確にすること。○なのか×なのかはっきり伝えないと相手側の要求に応えていないわけですし、相談者の満足にもつながりません。

ただ、この私の「意見」は当然、相談者によっては好ましくない意見であることもあります。相性ではなく、「そのやり方は好きではない」と感じられる場合です。「それでは・・・」と代替案を提案することもありますし、着地点が見出せないまま終了することもあります。

それでも、相談者には満足してもらうように心がけます。「意見」が受け入れられなくても、それは不満足に直結しません。「意見が聞けてよかった」と感じてもらうだけでもいいのです。

経営革新計画の申請のため大阪府の窓口を訪問しました

Phm11_0037 今月の5日(水)に自らの経営革新計画の申請のため、大阪府の窓口を訪問しました。

これまで支援先の経営革新計画申請のため窓口を訪問したことは数知れずありますが、自分のための訪問は初めてです。

私は個人事業主のため法人の場合と違って収支計画の部分が少し特殊です。大阪府の担当者の方に相談すると、個人事業主用の計算式が入ったエクセルシートが提供されますので、それに従って収支計画を作成する必要があります。

事前にメールで完成した計画書を送信し、窓口訪問の予約をし、今日に至ったわけです。

窓口での内容はこれまでの事業内容と経営革新の概要、さらに計画書に記された細かな記載や数値について質問を受けます。この「質問」が大切な財産になります。言い方を変えると、無償で窓口の方という第三者からの評価を得ることができます。こちらが思いもよらない質問もありました。今後販売していくにあたって、顧客は同じことを疑問に思うかもしれないと捉えて、営業ツールなどであらかじめわかりやすく表現しておこうと思いました。

2時間弱の相談を追え、いくつかの修正指摘を受けましたので、これらを修正して提出となりそうで安堵しています。

ちなみに個人事業主の場合、添付書類が少々違います。定款がないかわりに印鑑証明書だったり、また私は確定申告書の控えを税務署に請求していないため、税務署長印のある申告書が手元にありませんし、税務署にいってもコピーはさせてくれません。こうしたときは市区町村が発行する所得証明でいいとされています。私もあらかじめ担当の方に確認して持参しました。

はやく修正して提出してしまいます!!あとは結果を楽しみに待ちます!!

※ちなみに画像はイメージです。私ではありませんのであしからず・・・

和歌山大学講義録その1

今日からいよいよ担当講義が始まりました。これから15週に渡って毎週木曜日の1コマ目、2コマ目を担当します。

1コマ目は経営情報システム。いわゆるMISの話ではなく、企業における情報システムの活用について実例を交えながら説明する講義です。今日は概論ということで、企業の情報化段階やシステム化を進める際の留意点についてです。しかしその前に「経営情報システム」を「経営」と「情報システム」に分けて、『経営ってなに?』というテーマで意見交換しました。受講された学生さんには不意打ちだったようですが、何のために会社があって、何のために社員さんが働いていて、経営者の役割って何か・・・など。とても有意義な時間を過ごしました。次回は技術者倫理についてです。今技術者倫理でホットな話題といえばやはり原発になるでしょうか。

2コマ目はソフトウェア工学演習。前期に別の先生から「ソフトウェア工学」について教科書的な知識を学んでいますが、その授業とセットになっていて、私の役割は実務家として教科書通りにはいかないところや実務上の注意点を伝えることです。今日は最初ということで、要求獲得について。そして要求を獲得するにあたって必要となる準備の話や実際のインタビューなどでのコミュニケーションの話をしました。難しい話ではなく、コミュニケーションの基本は場の雰囲気を良くすること。そのためには笑顔も大切な要素の1つであったり、相手の認証のためにあえて名前を呼ぶことなどいくつかエッセンスを伝えました。途中、笑顔を作るためのトレーニングをしたりと、「本当にソフトウェア工学の演習か?」と思われる内容ですが、実務家としてはどうしても外せません。

来週以降もまた学生さんたちと会えるのが楽しみです!!

ところで、今日講師室に入ると写真のようなステッカーをいただきました。

Imag0071_2 黒い部分が温度計になっており、冷暖房を使う室温の目安も記されています。これが大学内の各室に貼られているようです。今日さっそく、その効果の大きさを実感しました。

1コマ目の講義中。話がヒートアップしてエアコンをつけようとスイッチに近づいたとき・・・示している温度が「冷房の室温」より低い・・・というわけで抑止効果バッチリです。さっそく頂いた1枚を事務所の見やすい位置に貼り付けました!!