元請受注に向けて販促活動を開始した企業

Phm11_0038 先日、経営相談で和歌山の建設会社を訪問しました。下請工事が中心で粗利率が低迷。数少ない元請工事は粗利率が良いのはわかっていても紹介など偶然機会を期待するスタイルで全く伸びていない。そんな企業へ、「これならうちでもできるかも・・・」という元請受注に向けた営業方法を紹介してきました。

そんな企業が「こんなチラシを考えたのですがどうですか?」と後日相談に来ていただけました。小さくて自信なさげですが、「やる気」が芽生えたことにとても感激しました。やる気のある企業はどんどん支援したくなります!!

そのチラシは周年記念で顧客紹介割引キャンペーンを打つというもの。既存顧客への囲いこみが出来ていなかったので訪問理由としては問題ありません。それでも指摘したいことが山ほどありました。愛のある厳しさですべて指摘。例えば・・・

  • 顧客紹介依頼が訪問文句であるが、訪問先そのものを営業するための作戦が練られていない。紹介は訪問理由でしかなく、訪問先、照会先の両方を同時に営業する仕組みを考えなくてはならない。紹介には訪問先顧客の満足度が高くなくてはなりません。これをきっかけに過去の施工に対しての満足度アンケートも取るなど信頼関係の構築をする必要があります。
  • 「訪問先が顧客を紹介する理由付け」が必要です。キャンペーンでは紹介時の粗品、成約時の商品券進呈などがありますが、「私が商品券をもらえるので、あなたを紹介して良い??」なんて紹介先に聞けるはずがありません。訪問先、紹介先両方が建前と本音でWinWinとなる仕掛けづくりが必要です。

こうした指摘をいくつかさせて頂きました。それでも第一歩を歩みだした支援先に大きなエールを送りたい気分です!!

新聞折込の素敵な住宅チラシ

120522_21_28_46 先日の新聞折込チラシをチェックしていましたら、思わず手にとってしまったチラシ(?)が入っていました。

内容は住宅ですが、デザインや7ページというボリュームから私鉄などで配布されるフリーペーパーのようなイメージで、明らかにターゲットは若ての女性。恐らくは賃貸マンションなどに住んでいる20代~30代の子育て世代のママの方がターゲットでしょう。

120522_21_29_10 紙面もやさしい幹事ででいわゆる「かわいい」と表現されるデザインで統一されています。

広告主のホームページをチェックしましたら、この紙面とのデザイン統一はされていないものの「子育て」というキーワードで共通化され、うまく誘導しているなと感じました。

新聞折込も「AIDMA」理論が有効で、最初のAとなる「何これ?かわいい!!」はとっても大切なスタートです。紙面を見て、ホームページを見て、欲しいと思わせる。うまくマーケティングの本道を表現しています。

久しぶりに「これは!!」と興味を持ったチラシでした!!

※念のためですが、この広告主と安田コンサルティングは何ら関係がありません。支援先の宣伝ではありませんので。。。

財務管理研修「財務の勘所」2日目

120517_20_03_39 中小企業大学校関西校にて5月17日~18日の2日間で行われた「財務の勘所」研修。今日は2日目のことを記載します。※1日目の様子は「中小企業大学校の研修「財務の勘所」1日目は電卓に触らない変わった財務研修」

2日目のスタートは日ごろの経営活動によって決算書がどのように変化するのかを考えます。取引1つ1つに対して損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書の3表の動きをグループで意見交換しながらチェックしていきます。

この研修はここまでが決算書に関する知識の積み上げで、これ以後が勘所を押さえるところに入っていきます。

最初は「決算書を読む方法」

決算書の読み方は2通りあって、健康診断的な読み方と仮説検証的な読み方です。今回は健康診断的な読み方を伝授。総資本経常利益率を全体指標として収益性、効率性へと展開していく方法と、安全性・キャッシュフローの観点で展開する方法と2つ紹介しました。このあたりからようやく電卓の登場です。

そのあとは実際の決算書を使っての分析演習。決算書で様々なことが見えてきますが、大切なことは「決算書だけで判断しない」ことです。

例えば、「前年度に比較して原価率が悪化しているからコストダウンを・・・」と単純に捉えるのではなく、経営の方向として「差別化のために材料には徹底的にこだわる」という方針に変わってたとしたら原価率が高くなるのは当たり前です。

固定比率の悪化は積極的な設備投資の影響かもしれない

広告宣伝費の増大は販路開拓のために展示会への出展をチャレンジしたのかもしれない

生産性の悪化は数年後への種まきに勤しんだためかもしれない

など、単に指標が悪化したからといっても、企業によって評価は変わるということです。財務分析という武器を手に入れるとどうしても数字遊びをしてしまいがちです。何のために分析するのか。分析自体が目的となってはいけません。

そして、次に大切なのが、「自分なりの意見を持つ」ということです。決算書を手に入れ、分析をする・・・というところまでは誰だってできますし、最近はエクセルなどのシートで自動計算してくれるものも多いです。大切なのはその分析結果で意思決定をすることです。そのためにはまず自分の意見を持つこと。経理マンとして経営者の右腕となる「戦略的経理マン」になるために大切なことです。

最後に最も大切なことですが、「企業の良さは決算書に表れてこないことが多い」です。もちろんその「良さ」が収益として表れてくるといいのですが、経営上の何らかの問題(例えば「宣伝が下手である」など)で収益に表れないことがよくあります。だから企業の良し悪しを決算書の分析だけで行うことも危険な行為です。逆に考えると、企業は決算書に表れてこない良さ・競争力を積極的に外部に発信する必要があるということになります。

・・・といったことなど、色々な勘所を伝えてきました。6月にはこのシリーズの第2弾があり、私が講師を担当します。第1弾を受講できていなくても導入部分できちんと配慮しますので、興味がありましたら是非ご参加下さい!!

中小企業大学校の研修「財務の勘所」1日目は電卓に触らない変わった財務研修

今日と明日、中小企業大学校関西校で「財務の勘所」というタイトルの研修講師を務めています。

120517_20_03_39 ポイントは「勘所」です。申告などのために制度会計を学ぶのではなく、できあがった決算書をどう経営に活かすかです。

1日目の今日は、決算書を一度も見たことが無い人でも理解できるように決算書の中身についてじっくり解説。そのためのスタートは次の問いかけでした。

「企業の存続のとって、一番大切なのは売上か利益か現金か?」で、その答えは現金。

「それでは目の前に100円しかない企業と100万円ある企業とではどっちが安全か?」とさらに問いかけます。

目的は何のために決算書があるのかを勘所としておさえるためです。

「100円しか無いっていっても銀行口座にはあるかもしれないし、もしかしたら高く売れる商品がたくさんあるかもしれない」

ならば、「A:現金以外の預金や商品などがどうなっているのか気になりますよね??」

「100万円あるといってももしかしたら借入の返済のためのお金で使えないかもしれない」

ならば「B:100万円をどうやって調達したのか気になりますよね??」

「今は100円しかなくても実はものすごく利益があがる商売をしていて大丈夫なのかもしれない」

ならば「C:100円企業の収益がどうなっているのか気になりますよね??」

「100万円あっても仕入代金かもしれないし、100円しかなくても明日売上の入金があるかもしれない」

ならば「D:お金の動きが気になりますよね??」

このA~Dの情報って・・・そう、決算書に書いてあります。

AとBは貸借対照表っていう書式で書いてあります。

Cは損益計算書っていう書式で書いてあります。

Dは本来キャッシュフロー計算書っていう書式で書いてあるのですが、通常中小企業では作りません。「無かったら仕方がないか・・・」では済みません。良し悪しをみるのにDの情報が必要なんです。「無かったら作るしか!!」です。

とにかくA~Dの情報を得たいがために決算書を見ないといけないのです。

・・・というスタートでした。午前中はずっと決算書の書式を解説し、実務上の話(例えば短期借入金は経営者のポケットマネーであることが多く、実際に返済されることは少ない・・・といったこと)も交えたり、とにかく「何となくわかった」というレベルを目指して話しました。

午後はそれぞれの決算書を簡単な図式で表し、「こんな形の決算書だったら、この企業に何が起こっていると思うか?」をテーマにテーブルごとの意見交換を繰り返しました。

結局、今日一日電卓に触ることはありませんでした。

残念ながら、明日は電卓に触れて、難しい話もしなければなりません。でも、今日の「何となくわかった」がモチベーションになって皆さんついてきてくれると信じています!!

建設会社の決算書分析で留意すべきこと

Image001 ある企業の経営支援を行うために決算書の分析を行った。

左のグラフは各数字をプロットしたもの。預かった決算書は建設業会計に対応しておらず材料費以外の労務費、外注費、間接経費はすべて販管費に含まれているタイプであった。

建設会社であっても建設業会計に基づいた決算書を作成していないケースは多い。担当する税理士が建設業会計に詳しくない場合など理由は様々である。

このグラフでまず最初に着目すべきは粗利のところである。決算書の売上総利益を単純に粗利として捉えると、売上(緑)と粗利(赤)は明確な相関があり、売上拡大にともなって粗利も増加していると考えられる。

しかし、建設業は重下請構造である。原価の大部分を外注費が占めるのに、その外注費が販管費に組み込まれていると当然正しい分析はできなくなる。そこで販管費内の「外注工賃」に着目するとグラフ(黄色)でもどんどん外注費が増えていることがわかる。これを差し引いた粗利(外注費込)(ピンク色)を見ると見事に減少傾向にあることがわかる。

売上重視でドンブリ勘定の建設会社に多く見られるパターンである。売上が伸びているのに利益が確保できず借入依存体質となっている。「忙しいのに経営が良くならない」と経営者は嘆いているのだ。経営改善の策として販管費のコストダウンを試みる。この企業においても外注費を除いた販管費(水色)の値は減少している。しかし経営は良くならない。何故なら原因は販管費ではなく工事原価にあるからだ。

工事原価を見直すのに画一的な方法論は存在しない。工事別に予算と実際原価を比較してコストダウンの可能性を検討することになる。その前提として、工事別に原価が把握できることが必要。だから建設業会計を導入する必要があるのである。

※決算書では一般会計にして、管理会計(内部資料)で建設業会計を導入している場合は問題ない。

「うちももしかして・・・」と一度分析してみることを提案する。

障がい者問題を通して人を生かす経営のあり方を学ぶ

障害者問題全国交流会参加している中小企業家同友会の全国行事が9月に大阪で開催されます。

『第16回障害者問題全国交流会』

日時は2012年9月13日~14日。場所は帝国ホテル大阪。参加費は18,000円。

この問題について意識したのは1年ほど前。カメのようなペースですが、少しずつ勉強しています。

障がい者問題といいますと、作業所や就労を支援するところが最初に思い浮かびます。障がい者雇用に高い意識で取り組む方々が先頭にたって活動している一方で、その他の方々は「そうした意識が高い人がやっているから・・・」とか「うちでは無理」といった意識ではないでしょうか。

「いつか誰かが」ではなく、「今、自分が」という意識で取り組みたいものですが、まずはどこか他人事といった考えを改める必要があります。この世の中には就労において残念ながら「弱者」が存在します。それは障がい者だけではありません。そうした「弱者」が自由に働ける。すなわち「弱者」が存在しなくなる。そうした社会を形成することは、企業の経営環境の改善そのものです。だから自社の存続・発展、さらに社員や家族を守るために経営者が当然に取り組まなければならない問題なのです。

障がい者問題=障がい者雇用 ではありません。障がい者雇用は大きな要素の1つですが、障がい者が「自由に働ける」職場づくりはすなわち人を生かす職場への道だと考えています。

人それぞれの個性に着目し、その人が自社の仕事に取り組んでもらうには何が必要か。「こいつはほめて伸ばそう。こっちは叱って伸ばそう。」なんて考えている管理職の方々がいると思います。人の個性に着目した考えです。この延長です。「この人はここが不自由だから、こうして伸ばそう」です。そのために創意工夫することが企業を強靭にするように思っています。

つらつらと書きましたが、もともとこうした考えだったわけではありません。1年間障がい者問題に末席ながら取り組んできたなかで変わってきたのです。

そうした大きな気付きが得られる交流会です。

是非、皆さん、ご参加下さい。