経営者の覚悟と父親の覚悟

先日、ある工務店に経営相談のために出かけてきました。先代から引き継いだものの職人気質のせいか営業ベタでなかなか業績が上がってきません。
色々な販路開拓のアイデアを提供し、口ベタ、営業ベタでもできる方策を考えました。「これなら何とかできそうだ」とヤル気が少し芽生えたのですが・・・
後日、電話にて「色々と事情があって・・・」ということで、さきほどのヤル気はどこへやらという状態でした。その事情も聴かせていただきました。それは家族(お子さん)に関することで、そこに思い悩み仕事に集中できないというものでした。
企業ではない家業で事業を営む場合に、こうした問題は少なくありません。事業は家族を守ることと直結しているからです。血縁以外の社員もいなければ当然色濃くその傾向が表れてきます。
「仕事は仕事として割り切って・・・」という言葉は意味を成しません。
私がその方に望むことは、「その難しい事情もひっくるめて、家族を守る」という父親として覚悟と、「その糧を得るために仕事に懸命に取り組む」という覚悟です。家族を守るための仕事ですが、選択肢は様々で必ずしも「工務店」でなくても構いません。しかし守り通すために一番可能性の高い仕事が「工務店」である以上、そこから逃げずに向き合う必要があります。
仕事に集中できるかどうかは時期やタイミングの問題もあります。しかし「何がなんでも家族を守る」という覚悟は早く決めなければなりません。
またお会いして、そのことを伝えたいです。伝える一方で、その方の悩みをしっかり聴きたいです。悩みを聴くことしかできないけれど、「あなたの味方です。あなたを支えたいのです。」と伝えたいです。

 

創業10年となりました

本日2015年7月1日で、安田コンサルティングは創業10周年を迎えることができました。
10年前に何があったかと…小泉政権の隆盛、姉歯耐震偽装事件など。そう考えれば10年って結構長いですね。創業当時33歳でしたが、ちゃんと10年年をとって43歳となりました。
その間に多くの方と出会うことができました。創業時からいただきました名刺のデータ入力を心掛けており、データ件数を数えると3,300名となっていました。本当に多くの方に支えられて10年を迎えることができたのだと感じています。
もちろん、多くの名刺交換がかなっていない方々からも支えられています。その一人目はもちろん、10年公私ともども支えてくれた私の家内です。今も事務所の経理業務やお客様のホームページ更新など多くの業務を担当してくれています。「最も信頼し合える最高のパートナー」の私にとっての第一人者です。さらに現在はパートの職員さん2名を加えて、安田コンサルティングを盛り立ててもらっています。本当に感謝しています。
私が創業して最初に自らの営業によって依頼を受けた仕事は商工会での建設業ITセミナーでした。あのときの緊張感は今も忘れることができません。その1年目から少しずつ業務の幅を広げて色々と挑戦してきました。「多くの方が喜ぶ笑顔が見たくて」「そんな方々から必要とされ頼りにされるのがうれしくて」が私のモチベーションとなっています。
創業して5年目に大阪府中小企業家同友会に入会しました。その翌年には経営理念の成文化を行いました。この経営理念と出会えたことは私にとってとても大きなことでした。先述の私のモチベーションと私が追及すべき目的と、子どものころから世の中がこうなってほしいと思う価値観がすべて合体して形になったのが経営理念でした。経営理念を成文化して4年が経ちますが、経営理念に込めた想いはどんどん大きくなっていきます。成文化前と後でお会いした方々の多くが「安田さん、変わった?明るくなったね!元気だね!」と声をかけてくださいます。
経営理念をかかげた翌年からは経営指針による経営がスタートしました。平成30年ビジョンを掲げてそこに向けてまい進しています。その途中段階の目標に出版やパート職員さんの雇用があります。これらはすべて「途中段階」であり平成30年ビジョンにはもっと大きなことを掲げています。さらに最近新しい夢ができました。平成30年ビジョンに新たに盛り込みたいと考えています。
今書いていることを読み返してみると、「自己満足の経営」のように思います。(私自身それを強く感じていますが…)
そうなると、この自己満足が社会に受け入れられることが大切になってきます。だから経営理念には社会性が必要なのだと思っています。自己満足の追及がより多くの人の幸せにつながり、次の世代によりよい社会を引き継ぐことになると信じています。
経営理念の追及は死ぬまでやろうと成文化のときに強いモチベーションを得ました。日本の平均年齢でいえばあと40年ほど続けることができます。これまでの43年。これからの40年。ほぼ中間です。40年後の創立50周年を目標に、これまで以上に色々なことに挑戦して経営理念を追求していきます。
私を支えてくださっている多くの皆様。これからも安田コンサルティングをよろしくお願いいたします。

中小企業大学校関西校にて「決算書の読み方・活かし方」について講師を務めてきました!

中小企業大学校関西校にて「決算書の読み方・活かし方」について講師を務めてきました!
この研修を担当することになって4年目となりました。この研修機会を頂いた際に、「決算書を読む」ことについて頭の中にある考え、ノウハウ、理解の仕方、活用の仕方などなど取りまとめるきっかけとなり、その延長上で昨年7月には「ゼロからの戦略的経理マン養成講座」を上梓することとなりました。私にとって、大きなステップアップの機会となった研修です。
2泊3日の泊まり込み研修でゼロから決算書の読み方を学ぶ研修です。
皆さんは「決算書を読む」ことはどういうことだと思いますか?
「決算書を使って会社の収益性や効率を分析すること」という回答が多いようです。残念ながら決算書は過去の記録であり、どんなに分析しても決算書の数字が変わることはありません。だから「決算書を読んでも意味がない」と考えている経営者が多いようです
「決算書を読む」とは「決算書を使って未来を読む」ことなのです。経理の仕事は簿記を使って企業が歩んできた道をしっかりと記録して整えること。でもそれは役割の半分です。過去も大切ですが、本当の経理の仕事は企業がこれから歩む未来の道を整えることにあります。そうしたことも含めて3日間、色々と語ってきました。
受講生の皆さんには喜んで頂けたようで約30名の受講者の方々全員と名刺交換ができ、後日何人かの方が感想を送って頂きました。「勉強になった!」、「ためになった!」、「すぐ会社で活かしていきます!」という声を聴くと、「この仕事やっててよかったなぁ」と幸せな気持ちになります!

 

10年後を想定した建設業の経営戦略

仙台と池袋の2か所で「2025年 10年先を睨む建設会社の経営戦略」というテーマで講演してきました。
いつもご一緒させていただいています、あさかわシステム株式会社さんのASKIDSフォーラムの基調講演です。
戦略を考える際にはゴールとなる目標が必要です。そもそも戦略とは「目標にどのように向かうか」であるからです。今回の講演では維持修繕工事が最も盛んとなる今から10年後の2025年、その手前でオリンピック開催など大きな節目となる5年後の2020年の2つに焦点を当てて語ってきました。
一言でいえば競争優位性を育てることが戦略になるわけですが、外部環境が目まぐるしく変化していきます。人材不足、海外進出、他業種からの参入、技術の多様化、情報化施工などなど。これらの環境変化に目を配ることがまず1つ。そして自社の強みを明確にすることとその強みを共有することが2つ目。その準備段階を経て競争優位性を育てていきます。
競争優位性を育てることは経営資源への投資を意味します。特に「ヒト」です。人材への投資は技術習得や資格取得以外に、個人個人のモチベーションを高め、組織力が発揮できる企業にしていく必要があります。モチベーションや組織力についても時間を割いて語ってきました。
このテーマでの講演は今後名古屋、大阪、福岡でも開催されます。詳しくはあさかわシステムズ株式会社さんのホームページをご覧ください。