繰り返し自問自答したい『経営者に贈る5つの質問』


『経営者に贈る5つの質問』を読みました。ビジネス書は要点をつかむために1時間程度で読むようにしています。でもそんな私を見透かしたようにドラッカー先生に「本書の具体的な使い方について、私からの希望は一つしかない。大急ぎでは読まないでいただきたい。」と釘を刺されてしまいました。
また読みたいと思います。

1 われわれのミッションは何か?
2 われわれの顧客は誰か?
3 顧客にとっての価値は何か?
4 われわれにとっての成果は何か?
5 われわれの計画は何か?

大急ぎで読んだのですがこの質問を考えているうちにミッションと取るべき行動が一つ頭に浮かびました。廃棄と集中。成果の上がらない繰り返しはすぐに取りやめて新しいことを始めます!

世界を変えるお金の使い方


年末年始の夜長、買い貯めていた本を読んでます。『世界を変えるお金の使い方』。2004年に発刊された本です。
100円でポリオワクチン接種5人分、300円で1メートル四方の地雷除去など沢山のお金の使い方を示していますが、決して寄付を促進するためだけの本ではありません。
一人の経営者として思うところがいくつかありました。社会性に富む経営理念を追求することは世の中のために社会や環境をよくすることにつながります。その追求のため利益は再投資されます。これもあるいみ世界を変えるためのお金の使い方でしょう。
またコストの掛け方を工夫することも考えるべきです。例えば原材料。「地球に優しい」やフェアトレードのものを購入したりグリーン購入に取り組んだりすればコストは上がります。その上がった差額は利益を減少させるものですが、その分、よりよき社会や環境に対して投資したと考えることもできます。利益からの投資とコストからの投資。最終的には同じですよね。
またこの本ではお金の使い方に貯蓄も含めています。金融機関に貯金するとそのお金は運用されます。何かに投資したり融資されたりと。その投資先、融資先がどうなっているかまで気にする人は殆どいないでしょう。でも自分が預けたお金が反社会的なものに投資されたり貸し出されたりするとどうでしょうか。

この本に記されている、環境改善や社会改善のためにお金は使っていくべきだと考えることと、その実践は寄付などの特別な時だけではなく日常でも行う必要があると強く認識しました。

子どもの夢は輝ける未来そのもの


『あなたの夢はなんですか? 私の夢は大人になるまで生きることです。』
致知出版社の少し古い本ですが致知の紹介記事を見てどうしても読みたくなりました。
壮絶な環境で一生懸命生きている子どもたちの話がたくさん紹介されています。その中で感じ取るべきことはそうした子どもたちを哀れむことではありません。一生懸命に生きるということです。
このブログの二年ほど前の記事に『今日あなたが無駄に過ごした一日は、昨日死んだ人がどうしても生きたかった一日である』を書きました。その言葉とこの本に書いてあることが重なりました。毎日一生懸命に生きたいと思います。

また、文中にあった世界の二割の人が七割の食糧を食べてしまうという事実に驚きました。そしてそのうち何割かは食べられずに捨てられていきます。この問題は一人で解決できるものではありませんが、事実を知って多くの人に発信することはできます。子供の頃親に言われた「だされたものは残さず食べなさい」という教えは本当に大切です。その気持ちと食生活を少し慎むことも大切ですね。自分に対する戒めですね。

人として一生懸命生きる。そして、経営者として、より多くの人が人間らしく生きることに何ができるのか考えて行動したい。

確かに経営は不格好で、でもおもしろいです!


『不格好経営』南場智子著

週刊ダイヤモンドの紹介記事で見つけたこの本は本当に刺激的でした。DeNAの歴史を創業者の目線で語るのだからすべて臨場感に満ち溢れています。
ドタバタの歴史はテンポよくページが進み、ユーモアも溢れニヤニヤしながら読んでいるといつのまにか涙を誘う。読んでる方もドタバタに巻き込まれます。
マッキンゼー出身でコンサルタントだった著者のコンサルタント感は自分に照らし合わしてフムフムと納得する一方で『そりゃ違うやろ』とツッコミも。違うところを拾ってみれば、それは私が一人のコンサルタントである前に一人の経営者であることからくる違和感だとわかった。納得。
7章の『人と組織』のところは少し理屈じみていて好きになれないけれど、自分が苦手とする『チーム』で進むことについてはやはり『任せる』や『頼る』ことがポイントなんだなぁと頷くだけだった。
この本を読んで欲しい人が頭の中に二人浮かんでいます。一人には今読み終えた本をプレゼントし、もう一人にはギフトで贈ることにします!

[新訳]南洲翁遺訓(2009-32/100)

[新訳]南洲翁遺訓

南洲翁遺訓は西郷隆盛の遺訓集。他に読んだ本で紹介されていたので繋ぎ読み。本書は数ある遺訓を政治、時代、事業、人生の4つの教えに分類して、それぞれの訓えに対して筆者の松浦光修氏が解説を入れている。松浦氏の解説は現在の様々な事象を例にとって説明しているが賛同できるところとそうでないところがあり、それがゆえに自分の考えをしっかりと持って読むととても読み応えがあった。

特に「自分のとらわれるな」という訓えに対して論語で引用した言葉が印象的であった。

「わがままな心がない。むり強いする心がない。かたくなな心がない。独りよがりの心がない。」

3つ目の「かたくなな心」は肯定的な意味で使われることが多いと思うが、それすら捉われないというのも自然を受け入れて流れるような人生を全うするには必要なことかと思い至った。

ひとり光るみんな光る―バグジー流感動経営 他(2009-31/100)

ひとり光るみんな光る―バグジー流感動経営

愛と感謝の美容室 バグジー 1―『心を育てる』感動コミック VOL.1

愛と感謝の美容室 バグジー 2―『心を育てる』感動コミック VOL.2

北九州市を中心として展開する美容室「BAGZY(バグジー)」の久保華図八氏による「心の経営」についての考え方を綴った本とそれをマンガで表したもの2冊の計3冊。実はこの本は購読している法政大学坂本研究室のブログで紹介されていたもの。

丁度1つ前の記事に書いたようにCSとESの関係についてとてもわかりやすい事例のように思える。サービス業だからなおのことだろう。

地場に密着した企業の場合、顧客、従業員問わず人を愛し、感謝していくようになると地域に溶け込んでいくような気持ちになる経営を行っていくようになる。これはもう売上や利益至上主義とはほど遠いものだろうと思う。

この本に書かれていることを表面だけそのまま真似をしても何も効果は得られない。真似をしてみるとしたら皆に感謝することであって、試しに家族や従業員に「ありがとう」と言ってみることだと思う。



伝説コンシェルジュが明かすプレミアムなおもてなし―お客様の望みをすべてかなえる方法(2009-30/100)

伝説コンシェルジュが明かすプレミアムなおもてなし―お客様の望みをすべてかなえる方法

以前読んだ別の本でリッツ・カールトンのサービスについて興味を持ったので購入した本。日本ではなじみのないコンシェルジュ。私もあまりコンシェルジュがいるようなホテルに泊まらないのだが・・・コンシェルジュとはホテルで顧客の要望(チケットの手配や飛行機、新幹線の予約、観光名所やレストランの案内などなど)を聞いたりクレームに応対したりする役割の人でホテルが提供するサービスの顔ともいえる人という印象だ。

サービスのプロだから学ぶことは多いはず。それはサービス業に限らず建設業や製造業でもいえること。私が参加している異業種交流会である建設会社の経営者は「建設業はサービス業」とよくいっているがまったくその通りだと思う。

話は横にそれた。著者の前田佳子氏は本の中で自分のモットーとして「あきらめない」、「心でモノを見る」、「自分以外はみな師」の3つをあげている。

心でモノを見るとは、相手が言っていることを鵜呑みにするのではなく、何故そう言っているのかを考えるということ。それで表面にあらわれてこない本当の要望や問題を捉えることができる。私も経営相談を受ける際に相談者の話を聞きながら、「実は解決したいことはそれではなく別のところにあるのでは・・・」と思うときがある。もっとそうしたことをうまく捉えられたらと思う今日この頃。

「自分以外はみな師」というのは決して驕るなという意味。これももちろんずっともち続けていたい心構えだ。恥ずかしながら「少しいい気になっていないか?」と反省することがたまにある。まだまだである。

サービスのあり方について参考になる一冊。読みやすいので飛行機で羽田から関西空港へ移動する間に読むことができた。オススメである。

働くママが日本を救う! ~「子連れ出勤」という就業スタイル~ (マイコミ新書)(2009-29/100)

働くママが日本を救う! ~「子連れ出勤」という就業スタイル~ (マイコミ新書)

5月に倉敷を訪問した際に薦められた本。帯表紙の赤ちゃんを左手で抱っこしながら右手でパソコンを操作する風景はたまに当事務所でも見られるものだ。(ただし、それは従業員の方ではなく私自身かあるいは仕事を手伝う専従者なのだが)

労働者人口が減少するなか日本の競争力の源泉として結婚・出産を期に退職した女性の力が注目を集めている。国や自治体も支援体制を整えつつあるが育児休暇制度の導入や託児所の設置などはやはり大企業が中心で中小企業ではなかなか普及しない。保育所不足も就業を難しくしている原因の1つである。

そうした現状を踏まえ、本書は「子連れ出勤」という1つの提案を投げかける。著者でモーハウス代表を務める光畑由佳氏は自身の出産・育児体験をもとに授乳服を製作。モーハウスでは子連れ出勤を実践している。(光畑氏はそうした女性のライフデザインを支援する取り組みが評価され内閣府の女性のチャレンジ賞を受賞している。)

「授乳服を扱っているのだから子連れ出勤でも違和感が無いのだ・・・」とは誰もが一度は脳裏をよぎること。しかしそっくり真似ることはできなくてもヒントにはなるはずである。

子連れ出勤には多くのメリットもあり本書のなかで紹介されているが一番賛同したのが、母親と子どもが一緒にいる時間が長くなるということだ。

建設業界も女性の視点が注目されている。住宅建築やリフォームの現場ではインテリアコーディネーターやキッチンスペシャリストの資格を持つ女性が多く活躍している。住宅設備メーカーのショールーム。子連れ出勤しているアドバイザーがいてもいいと思うのだがいかがなもんだろうか。

ムダとり―現場の変革、最強の経営 (幻冬舎文庫)(2009-28/100)

ムダとり―現場の変革、最強の経営 (幻冬舎文庫)

著者の山田日登志氏は日本の工場からベルトコンベアーを排除した(すなわちセル生産方式や一人屋台生産方式を導入した)、生産現場改善の第一人者。

大量生産時代から多品種少量生産時代へ移行するにつれ、生産性が低下し収益を圧迫し始めた生産現場が新たに活路を見出した生産方式がセル生産方式。単能工から多能工へシフトし、最終的にはすべての工程を一人で担当できるようにする。一人で担当するため工程間に柔軟性が生まれるほか作業者自身の自発性・モチベーションが高まり創意工夫も生まれる。そういったメリットがある。

ムダとりは生産性の無駄を排除すること。

5Sは整理・整頓・躾・清掃・清潔。工場内の整理・整頓・清掃を推し進める企業は多い。それ自体は推奨されるべきことであるが、大きく陣取っている無駄な生産設備は無いだろうか。目に見えるゴミ・ほこりを捨てるだけでなく、作業工程の無駄も捨て去ることが本当の5Sのように思える。

そんなことに改めて気付かされる一冊であった。

生産管理は日本流でいけ!―在庫減、低コスト、短納期を実現するヒント集(2009-27/100)

生産管理は日本流でいけ!―在庫減、低コスト、短納期を実現するヒント集

新しい本ではなく古本屋で偶然見つけたもの。

生産管理の目的とは何だろうか?ITに常日頃から携わっているとそれを忘れてしまいがちであるが、多くの企業では管理のための管理になっている。管理帳票を正しく出力するためにデータを投入する。せっかく得られた帳票は工場ではなく管理職の机上で確認され特に有用な意思決定をするわけでもなくファイルに綴じられていく。そんな光景が多くの企業でみられる。

本来生産管理も企業の競争力を高めるために行われるもので、その競争力はよくQCDの3文字で表される。品質・コスト・納期である。品質を高め、コストを下げ、納期(リードタイム)を短縮する。それが管理の目的のはずである。

本書はアメリカなど諸外国から輸入される管理手法の問題点・本質に触れ、日本のものづくり現場で培われた管理手法の優れた箇所を取り上げて生産管理のあるべき姿を説いている。

構成は管理したい、取り組みたいテーマごとに分かれており拾い読みにも適している。

生産管理システムを導入したものの効果が見えてこない企業に是非一読をすすめたい。