元気つうしん 2022年6月号 Vol. 83

~事務所だより~

こんにちは。安田コンサルティングの安田です。本日は事業承継と建設業許可の維持についてお話ししたいと思います。最近、こんな相談をよく受けます。
「息子に継がせるタイミングで法人化しようと思っているのだが・・・」
こうしたことを考えるうえで踏まえておくべきことを3項目紹介いたします。

  1. 建設業許可と法人化
    基本的に個人事業主から法人化した場合、建設業許可を再度取得する必要があり、これは避けることができません。気を付けた方がいいのは、公共工事の入札に参加するため経営事項審査を受けている企業です。経営事項審査の評点の中にある営業年数はもちろん、2年又は3年の完成工事高平均を算出する際に個人のときの実績を引き継ぎたいところです。それを可能とするための条件はいくつかあるのですが、その1つが個人事業主の代表者が新法人の代表取締役に就くこと。だから「法人化の際に息子が代表に・・」というのはこの条件を満たさなくなるため個人のときの実績が引き継げなくなるので要注意です。
  2. 経営管理責任者
    息子さんに事業承継し自分が引退するという予定であれば、経営管理責任者の要件を満たす人が誰になるかをよく考えなければなりません。息子さんと一緒に事業を実施していたのであれば息子さんが「補佐経験」として6年以上の実績があれば経営管理責任者になることができます。「別の会社で働いていた息子を呼び戻す」といった場合はこうした補佐経験がない状態なので別の人を経営管理責任者に据えるか、ご自身が代表でなくても取締役として残る必要が出てきます。
  3. 専任技術者
    よくあるケースが「自分は2級土木の施工管理技士を持っているが息子は資格を持っていない」というパターン。資格がなくても10年経験で専任技術者になることはできますが、それは工事種別ごとに重複しない経験年数が必要です。例えば、「とび」と「舗装」それぞれ10年、合計20年の経験で専任技術者になれますが、「解体も・・・」となると別の人が担う必要があります。専任技術者は役員でなくても社員であればいいので社員さんに要件を満たす人がいればいいですが、やはり今のうちに施工管理技士の資格取得を進めておく必要があります。

 

~建設業ニュース

【建設業許可業者数21年度末0.3%増、ピーク以降初の4年連続増】

国土交通省は22年3月末時点の建設業許可業者数を発表。総数は47万5293業者。前年度末に比べて0.3%、1341業者の増加でした。4年連続の増加です。
新規の許可取得は1万8806業者(前年度比5.4%、1064業者減)。
29の業種区分の許可総数は167万3673業者で、前年度末に比べ2.0%増加。複数業種の許可を受けた事業者の割合は53.3%となり、前年度末に比べ0.4ポイント増加しました。
取得業者数が増加したのは前年度と同じ25業種。増加数のトップは「とび・土工」の2617業者(前年度比1.5%増)。減少数のトップは「建築」の1717業者(1.2%減)でした。