掃除で学ぶ

和歌山大学での今期の講義が終了しました。ソフトウェア工学演習では昨年同様チーム演習の総まとめとして教室の掃除を行いました。
各チームの代表から総リーダーを選出し、チームごとに役割を決め、やり方を決め、リーダーが全体をマネジメントします。
この演習で学んで欲しいことはたくさんあります。
■ものづくりのこだわりについて
掃除はある程度の品質までは短い時間で進みます。時間がかかるのはそのあと。誰かが『机をきれいに並べよう』言い出します。前から後ろからチェックする人と机の位置を調整する人にわかれて動き出します。机がきれいなになったら、、、『椅子の位置がずれている』の声が。椅子を並べ終えると、もう机に貼られたメーカーの型番シールがずれているも気になり出します。ここまでは過剰品質。でも出来栄えは100%にちかづくにつれ1%あげるのにかかる労力、時間が増えることを感じてもらいます。
そしてその『こだわり』力をやしなうためにはまず『気がつく力』が必要であることも伝えます。気がつく力は『当たり前を当たり前と思わないこと』です。自動ドアは開いて『当たり前』。手動ドアを誰かに開けてもらうとそこには『ありがとう』が生まれます。有るのが普通で当たり前。有るのが難しいから有難うです。気がつく力わ身につけしかも感謝もされる簡単な方法は一日一個でいいから吸殻などゴミを拾うことです。吸殻は落ちているのが『当たり前』でしょうか??
■教育の目的について
掃除の前にグループで教育の目的について討論してもらいました。色々な意見がでてきて楽しかったです。私は教育の目的は『教育を受けることで幸せになってほしい』という願いがベースだと思っています。社内教育もそう。企業の競争力を高めて維持発展することで社員全員の生活を守り仕事の中にもやり甲斐を感じてもらう。学校教育は直接的で親の子を思う気持ちがそれを表しています。学生の皆さんに『そんなまわりからの思いを受け止めて、自分は幸せになる義務がある』と感じてほしいと伝えました。そして皆が幸せになることを考えてほしいと。
親が皆さんを思う気持ちは命のつながりを連想させます。学生の皆さんも自分の家族を持つと同じ気持ちになる。次の世代のことを大切に思うようになる。だから学校でいう次の世代、つまり次にこの教室を使う世代のために教室をきれいにしようと提案したのです。
■美しい振る舞い
掃除を終えると皆の行動が変わります。揃えた机を動かさないよう静かに歩きます。この動きや配慮はとても美しいのです。次の世代のために掃除をしました。自分の消しゴムを使って机の落書きを消しました。だれが落としたかわからないゴミも拾いました。でもそれで自分が美しくなりました。
人のためにどれだけ思いやるか、時間を使うか、そんなことが自分を育てていくのだと最後に締めくくりました。