『建設産業の再生と発展のための方策2011』

国交省建設産業戦略会議よりこの6月に『建設産業の再生と発展のための方策2011』がとりまとめられ提言されました。

128_2  「建設業しんこう」や「全建ジャーナル」などでは、国交省土地・建設産業局建設業課より概要説明が掲載されています。

方策の中では建設業界が直面する課題として以下のものがあげられています。

  1. 地域社会の維持
  2. 技能労働者の雇用環境と社会保険等の加入状況
  3. 重層下請構造
  4. 技術者の育成と適正配置
  5. 公共調達市場と受発注者関係
  6. 海外建設市場への積極的進出
  7. 過剰供給構造
  8. 新たな事業分野への展開等
  9. 東日本大震災

もちろん建設産業全体での課題ですので何も建設会社だけをターゲットにしたものではありません。しかし現状及び将来、すべての建設会社に影響を及ぼす課題であることは共通認識にしていいでしょう。しかし3.重下請構造などもう何年も前から課題として取り上げられている事柄もあります。競争力を高めるために合理化をすすめたあまり、「持たざる経営」が重下請構造を生んだといっても過言ではないでしょう。

実施すべき提案としてあげられているものは以下の通りです。

  • 対策1 地域維持型の契約方式の導入
  • 対策2-1 保険未加入企業の排除
  • 対策2-2 重層下請構造の是正と施工力のある企業の育成
  • 対策3 技術者データベースの整備と業種区分の点検
  • 対策4 入札契約制度改革の推進
  • 対策5 海外展開支援策の強化
  • 対策6-1 過剰供給構造の是正と不良不適格業者の排除
  • 対策6-2 新たな事業分野への展開等
  • 対策7 東日本大震災を受けた特別の対応

対策2、5、6あたりは個々の企業にも大きく関係するところです。施工力を高め優位性を確保するか新しい市場又は新しい産業に展開するか、企業が取りうる選択肢はここに網羅されているように思えますが、大切なことは企業としての肝のところです。経営理念により企業の目的が表され、方針ビジョンによって進む方向が示されなければ、こうした対策の枝葉を見て右往左往することになります。広い視野になって「建設会社」ではなく1つの「企業」としてビジョンを立ててほしいものです。

方策の資料(PDF)は30ページ程度のものです。是非皆さん、ご一読ください。