予算と原価の差異分析

 原価計算の書物には標準原価計算と差異分析といった記述がある。受注個別生産である建設業においては標準原価は設定しにくいが目安ぐらいはつく。それを個々の受注案件に当て込んだのが実行予算となろう。標準原価計算は差異分析をしなければそもそもそんな計算はやらないほうがマシである。時間がかかるわりには得るものがない。
 差異分析は単価×数量で原価をあらわすものに対して数量差異、価格差異で表される。一式外注工事を除いては労務費や材料費はこの分析が当てはまる。単価が違った理由は?数量が異なった理由は?改善策は?を共有することで会社の競争力につながる。
 これ以前に利益目標設定と実績比較する場合に、もともと積算見積から想定される粗利率が低く厳しい工事であるほど実行予算の達成率が高い傾向がある。逆に粗利率が高く余裕のある工事ほど管理が甘くなるのか実行予算の組み方が悪いのか達成できないケースがある。
 個別受注生産である現場において粗利率が同じ10%であり現場代理人の評価が同じであるような管理評価体制である企業にこの現象は顕著に現れる。
 「目標粗利率が異なるから現場の管理の仕方が変わる」これは利益を追求するために仕方がないことのように思えるが品質重視の観点から言えば非常に危険な考え方である。受注金額が変わっても工事の品質は変えない。すなわち目標粗利率が変わろうとその利率で現場代理人を評価してはいけない。現場代理人を評価するのは粗利率ではなく実行予算の達成度である。
 予算の通りに工事を遂行できる工事部門。これは営業部門からみても会社全体からみても頼もしい限りである。利益率の良し悪しと履き違えないように気をつけなければならない。

予算と原価の差異分析」への1件のフィードバック

  1. 予算オーバーに注意しましょう。

    注文住宅を建てるときに注意しなければならないことで一番重要なのはやはり、住宅購入価格の予算管理でしょう。いくら安い住宅(坪単価の安いハウスメーカーの注文住宅)選びをしても、住宅に付随するオプションを何も考えずに足していけばもちろん住宅購入価格が上がってし

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