保守の技術から暗黙知の数値化を考える

 今日は和歌山大学の講義である。保守シリーズの最後。保守作業の支援がテーマである。支援ツールとしてリポジトリ(CVSなどのバージョン管理ツールやBTSなどバグ追跡システム)関連の話ともう1つ話があった。それはモジュール間の相関を計測しバグ修正の際に関連して修正が必要であろうモジュールを提示する仕組みだ。すぐに思いつくものはクロスリファレンスツール。関数レベルでの呼びだし関係をマッピングする。これはどちらかというと構造を解析したものである。もう1つおもしろいのが修正実績を蓄積して予測するもの。現在までの修正履歴を版管理ツールなどに蓄積しておいて、あるモジュールが修正されたら過去の実績を分析して同時に修正されるケースが多いモジュールを提示するものである。これは構造を解析したものではなく過去の作業実績に基づいたものと言える。
 この講義をしながら思っていたのが過去の経験などを数値化する1つの仕組みだ。ナレッジマネジメントで特に取り扱うことが難しいが重要な知識は暗黙知であることが多い。こうした暗黙知を過去の実績データから数値化することができるのではないだろうか。様々な問題が同時におきて原因を追究するようなケース。原因を追求するために熟練者がチェックした項目をリストアップして蓄積する。同時に行われたチェック項目を前述のモジュールに見立てるわけだ。
 こうしたツールの開発に携わったことがないので実現性までは考えられていないが、今になって大学の基礎研究が実務上どのように応用できるか考えられる1つの経験となった。