容疑者ケインズ (2009-2/100)

容疑者ケインズ (ピンポイント選書)

経済学者のケインズ。少し経済について触ったことのある人なら聞いたことがある名前だろう。私もそのうちの一人。しかしケインズが唱える内容についてはほとんど知らず、また理解できるほど経済学の知識も持ち合わせていない。

そうした人間にとって本書はケインズのいう理論を理解するのに良いと思える。筆者の小島氏は帝京大学の准教授。もともとは数学科出身で数学の講師をされていた。経済学を社会人になって学び始めた同氏はケインズに対する理解をわかりやすく解説してくれる。生粋の経済学者が書く解説よりもはるかにわかりやすいのである。私も同じ数学科出身というところで妙な親近感を覚えてしまった。

この本はケインズのすべてを解説するわけではない。不況、バブル、格差といった今の経済情勢にケインズの理論をあてはめることで理解をうながしつつ、ケインズを賞賛したり反論したりと色々である。

経済学素人の私にとって公共投資や貨幣量が経済に与える影響や投資・消費・貯蓄の関係など興味深いテーマがいくつもあった。

またいつか読み返したい本である。

パートタイム労働法をテーマにした研修に参加してきました

先週末は中小企業診断協会和歌山支部が行う研修に参加してきました。テーマはパートタイム労働法です。

パートタイム労働法は平成20年4月に施行された法律ですがまだまだ法律のことを知らない経営者が多く、そのため思いもよらないトラブルに見舞われる可能性があります。
今回の研修で得た同法に対応するためのポイントは以下の通りです。

  • パートタイム労働法の対象者はいわゆるアルバイトやパートと呼ばれる雇用形態のことを言っているのではなく、労働時間の全部ではなく部分的に就業する人ということです。そのため、アルバイトでも正社員と同じく例えば月曜から金曜日の9時から17時といった勤務を行う方は対象ではありません。
  • パートタイマーを雇用する場合はパートタイマー向けの就業規則を作成しておく必要があります。これが無く正社員向けの就業規則だけがあった場合、そちらの就業規則が適応される可能性があります。(例:退職金、昇給賞与など)
  • 雇用の際にはパートタイム労働法に適合した雇入通知書(雇用契約書)を書面で通知するべきです。

他にも色々とありますが、そこは法律の解説書などを参照してください。

建設会社でも経理事務などの担当者がパートタイマーである企業は多いと思います。この機会に今一度社内の就業規則など見直してみてはいかがでしょうか。

信用保証協会の保証を予約する保証予約について

昨年末からはじまった緊急保証融資。年末の資金需要に対応すべくスタートしましたが、あまりに申し込みが殺到して未だ審査結果がわからない企業が沢山あります。これでは何が「緊急」なのか疑問です。

ただ、あらかじめ申し込みが殺到することがわかっていれば少しでもはやく申請するといった対応が可能だったと思います。電車が満員になる通勤時間より早く出金するようなものです。
通勤とはまた異なりますが、保証枠を予め得ておくことが予約保証として昨年11月から可能となりました。詳しくは中小企業庁の案内をご覧下さい。
ただし、通常の手数料より割高になりますのでご注意下さい。上記案内で図解されていますのであわせて参照しておくことをおすすめします。

住宅瑕疵担保履行法の情報コンテンツ

今年の10月1日より施工される住宅瑕疵担保履行法。住宅建築販売を手掛ける皆さん、対応は進んでいますか?

同法に関する解説書籍も多くみられるようになりました。今回紹介したいのは住まいの情報発信局で公開されている同法に関するコンテンツです。簡単な解説や全国の講習会情報が掲載されていて一読の価値ありです。

最近、工務店の支援のなかでよく聞かれるのは「利幅が減っているのにまた費用負担が増える・・・」という嘆きの声です。しかし利用者(顧客)にとって住宅に瑕疵があったときに補修してもらいたいというのは当然の要求である一方、そうしてもらえないリスクが存在することがよく知られています。すなわちそれは住宅購入の際の不安要素なわけです。

住宅のような大きな買物をしてもらおうとする場合、品質や価格面で優れていることは当然のことであり、それ以外の面での対応・気配りが大切となります。今回の顧客不安を払拭されるのもその1つ。自社の倒産リスクを踏まえ、法的にサポート体制が整いつつあることを本来は歓迎するべきではないでしょうか。

商売繁盛を祈願しに今宮戎に・・・赤井英和氏と遭遇

 今年も商売繁盛を祈願しに今宮戎に参ってきました。

 笹をもらい、吉兆をつけてもらい・・・とすごい混雑のなか、いっそうザワザワしているところがあり目を向けると福娘にならんで吉兆を取り付ける赤井英和さんの姿がありました。

20090110006_2 テレビカメラもありましたので何かの収録でしょうか・・・

 今宮戎の混雑振りをみると不景気がうそのようです。賽銭箱に向けて飛び交うお金を見ていると商売人のパワーを垣間見たように思えます。

 今年も無事商売繁盛を祈願できておまけに赤井さんの姿もおがんで、今年はなんだか良い年になりそうです。

公共機関の雇用対策にも色々なものがあります

 全国的に緊急の雇用対策が必要となっていますが、各自治体により様々な対策が講じられています。

 例えば金沢市が行う技術系職員の前倒し雇用といった直接的な雇用効果を得るものや、青森県が除雪作業の発注を建設会社に作業員を新規雇用することを条件に随意契約をするといった「見返り型」もあります。

 ちまたでも言われていますが定額給付金よりもこうした方向に資金を投入する方が景気・雇用の両面に寄与するため効果が大きいと考えています。

 公共工事も前倒し発注が行われて年度末より少しはやく道路工事などよく見かけるようになりました。しかし前倒しは決して発注量が増えるわけではありません。当面の運転資金を得て持続可能な間に企業内部で何らかの止血措置が必要であることを忘れてはいけません。

日経ホームビルダーにみるパナホームの戦略

 日経ホームビルダーにパナホームがリフォームの施工パートナーを募集しているとの記事。大手住宅メーカーとリフォーム、いままで中小工務店と棲み分けができていたリフォーム業界への進出として注目したい。

 大手住宅メーカーの建売住宅などはアフターメンテナンスが疎かになりがちである。何故なら施工金額が少なく、新築より手間のかかるリフォームは合理化が競争力である大手住宅メーカーがやりたがらない分野なのである。

 しかし、今後の新築需要予測をみれば新築のとき対応するだけでは顧客の住宅に関するライフサイクルの初期段階だけの収益となり先細りが予測される。できればリフォームメンテナンスで顧客をつなぎとめ、建て替えの際にまた自社で受注したいというのが本音であろう。

 そこでリフォームメンテナンスを行う必要があるが前述のように手間がかかるばかりなので営業窓口だけ用意しあとはパートナーに紹介する仕組みというわけだ。一括丸投げもできないのでパートナーが元請となり紹介料が事業収入となる。

 大手住宅メーカーの住宅は全国いたるところに存在する。そうした顧客と営業機能が得られるのであればパートナーになるもの1つの手ではあるが、そこは地場の工務店自身それぞれの考え方によるものと考える。

 今後、ほかの住宅メーカーも類似した仕組みで追従する可能性もあり、今後の動向に注目したい。

平成21年度の国土交通省の予算が決定

 平成21年度の国土交通省予算が決定し公開されています。

 建築関係での予算項目をグループに分けてみました。

安全

  • 住宅・建築物の安全の確保
  • 都市公園の安全・安心の確保

福祉・インフラ

  • 高齢者が安心して暮らせる住宅セーフティネットの確保
  • 歩行者や自転車に配慮した道路空間の再構築

環境・エコ

  • 低酸素型都市づくりの推進
  • 住宅・建築物における省資源・省CO2対策の推進
  • 住宅ストックの再生等の推進

まちづくり

  • 民間主体・地域参加による持続可能なまちづくりの推進
  • まちづくり交付金による国の施策に関連した取組への支援の強化

その他

  • 建設産業・不動産業の活力の回復と生産性の向上
  • 住宅・不動産市場活性化のための緊急対策

 キーワードとしては「持続」でしょうか。スクラップ&ビルドから脱却しハード面・ソフト面の両側から「持続」できる仕組みづくりがポイントとなってきています。

建設業経理士の登録制度を創設

建設業経理士の試験を行っている建設業振興基金で同試験合格者の登録制度を創設するという話があります。

建設業経理士は1級、2級の合格者が経営事項審査の加点対象になっています。また、それら有資格者が行う経理についての自主監査も加点対象になることから今後ますます建設業経理士資格の重要性は高まっていくもので、今回の登録制度もそれに対応するものと考えています。

登録対象は建設業経理士1級、2級及び旧試験である建設業経理事務士の1級、2級の合格者で登録講習会を受講することで登録証が交付されます。登録期間は5年。登録制度が「継続学習を行う」ことを想定していることから、これまで行われてきたステップアップ講習会のような形で更新講習のようなものが行われることが予想されます。

簿記の仕組みはかわらないものの会計制度は毎年目まぐるしく変化しています。そうした状況から継続学習は不可避のものといえるでしょう。

登録制度が開始されれば私も早速登録したいと思います。

経営事項審査に関する詳しいことはこちらをご参照下さい。