「天空率」と聞いて何を思い浮かべるだろうか。建築関係の仕事をしていなければマイホームのことを考えるとき以外は関連の薄い用語だろうと思う。という私も最近まで知らなかった。
建築物には採光・通風確保のため高さ制限がある。しかし都市再生を促進させるために規制が緩和され、2003年1月に建設基準法が改正され建築を認める方法の1つとして「天空率」が導入された。高さ制限をクリアしなくても、「天空率」の制限を満たせば建築できるようになる。この「天空率」とは簡単に言えば建築物の前に立って空を見上げたとき、上空を占める建築物の割合のことである。
今になって「天空率」の話を持ち出す理由は、建設通信新聞社の今日の記事にある。
昨年と比較して天空率設計による建築物が増加しているとのことで、2003年度が412件、2004年度が1,306件、およそ3倍である。特に都市部のマンション建築において、販売面積を最大化する目的で天空率設計に移行しているとのことである。しかし行政許可を行う側で特定行政庁と確認検査機関との間に認識の違いがあり、天空率を導き出す判断基準にばらつきがあるそうである。
規制緩和による新たな方法・基準は全国に統一的な考え方が浸透するまで時間がかかるのはいつものことだとつくづく考える今日この頃である。