IT化が遅れているといわれている建設業界の中でも基幹業務や設計業務などを中心にIT化が少しずつ進展してきている。前者では予実管理、後者ではCADの導入が主流だ。
今日取り上げたいのは予実管理を用いた評価制度について。
営業段階から完成引渡までを1つのプロジェクトと考えると営業部門、設計部門、施行部門等様々な部門で複数の人員が関わりを持つ。工事の採算性といえば施行部門の予実管理ばかりが注目されるが、短期的視点、長期的視点などからすべての人員がプロジェクトの出来によって評価されるべきものである。その例を示すと・・・
1.営業部門
(短期的)・見積積算結果から適正な粗利率を確保できたか。
・顧客満足度調査は一定の点数を確保できたか。
(長期的)提案作業等で過去の成果物を利用し、作業時間の短縮に努めたか。
2.設計部門
(短期的)施行結果との積算精度が一定水準を確保できたか。
(長期的)過去に蓄積したCADデータの再利用に努めたか。
3.施行部門
(短期的)実行予算を組み、発生原価を予算内に納めることができたか。
(長期的)将来的に他工事で利用・流用できる経験則を残したか。
これら以外にも購買関連なども評価対象になると考えられる。目先の粗利も大切であるが、企業の存続を視野に入れると長期的な視点での評価項目も必須である。定量的な評価基準を設定し、工事実績データから自動算出できるようにし、定性的な評価を加えることで総合評価できる仕組みが出来上がると考える。