見積依頼を受けるときもよく考えて・・・

 今日、知人が引越をするために引越業者の見積もりに立ち会った。見積もりはこちらからの勧めもあり3社行うことに。少しずつ時間をずらして、それぞれの会社に見積もりにきてもらう予約を入れ、いざ見積当日が今日となったわけである。
1社目:金額が予想以上に低く驚く。一瞬、もう決めてしまおうかと思う。ただ後の2社の約束もあるのでそこは我慢する。最初にお互いの金額は絶対に漏らさないが、3社の社名はお互いに共有してもらうことを告げた。最後に来てくれる会社(3社目)をここの営業マンは当てた。業界内でも遅くまで見積訪問することで有名らしい。
2社目:一番早く見積作業が済んだ。金額も1社目より40%ほど高かった。そのことは一切告げずに終了。頭の中では候補外に確定。
3社目:遅くまでやっていると評判らしい3社目。提示金額は1社目とほぼ同額。ただし、すぐに返事をして欲しい様子。少し席をはずしてもらって相談後にこの会社に決定。

 見積金額に差がある一番の要因は当日来る作業員の数。近距離なので総額が少ないためにこの違いが大きな差となるのである。
 惜しかったのは1社目だろうと思う。この業界はBtoCであるため合見積後の検討会もなく顧客は良い会社にすぐに決めたいと考えている。とすれば3社目が完了した時点で検討材料がすべて揃うので圧倒的に3社目が有利なのである。粘って良い条件を提示すればよい。あまり極端な条件提示はできないのであろうが、営業マンが時間と費用をかけて訪問しているのである。受注するか手ぶらで帰るかは大きな違いなのである。
 さて、ここで1社目と3社目の違いを考えたい。電話で見積予約を入れたときのことである。
1社目:「21日でしたら何時でも結構です!」「じゃあ昼過ぎにお願いします。」
3社目:「21日は営業マンが出払っておりまして夕方、ご迷惑でなければ訪問させていただきますが・・・」「じゃあ夕方でも良いのでお願いします。」
 私が引越会社の経営者で、品質・サービス・価格に絶対の自信を持っているのであれば、電話オペレータに「営業マンの空き状況とは関係なく、3社目のような対応をしろ」と支持する。「見積機会を失うのでは?1社目が顧客のニーズに広く応えられるのでは?」というのは「数が命!」と見込の薄い顧客でも多く集めることに執着する経営者の考え方だ。1社目の対応は顧客満足ではない。見込客満足にしか過ぎないのである。見積の数ではなく受注の数にこだわり、効率的な経営を行いたいと考えるのであればどちらが良いかは一目瞭然である。3社目のような対応をすれば合見積であっても最後になる可能性が高くなる。すなわち受注の確度が増すのである。