脱談合そしてダンピング

 公共工事関連の談合問題が世間を騒がしているが、ずっと以前に脱談合を宣言した建設会社は別局面の問題に直面している。過度の価格競争が招いたダンピングの横行である。最低価格が提示されている入札案件では皆が最低価格を提示しクジ引きで決定。提示されない場合は限界を超えた低価格での入札競争となる。一般的に予定価格の75%を下回れば利益どころか赤字になってしまうといわれている。最近では60%台での落札も多い。では何故赤字なのに工事を取りにいくのか。それは色々な理由が考えられるがその1つに前渡金がある(民間工事の多くは竣工払いであるが、公共工事では前渡金、中間金などで竣工前にキャッシュが得られる)。厳しい資金繰りを強いられている企業は後先のことを考えないで前渡金を目当てに無理な価格での入札を行うのである。しかし発注者側にたってみればそのような価格では工事ができないことは明確であり、施工が正しく完了するのか(倒産の可能性)、品質のよい工事が行われるのか(手抜きの可能性)などが心配されるのである。
 この12月8日にこういった状況に危機感を抱いている国土交通省は「緊急公共工事品質確保対策について」として対策案を提示した。その構成は以下の通りである。3番の対策などは一見不適格事業者の参入を招きそうであるが、実績の無い事業者が実績を積むために低価格入札にはしるのを抑制するためとのことである。

1.総合評価落札方式の拡充 (施工体制の確認を行う方式の試行実施)
2.品質確保ができないおそれがある場合の具体化 (特別重点調査の試行実施)
3.一般競争参加資格として必要な同種工事の実績要件の緩和
4.「入札ボンド」の導入拡大
5.公正取引委員会との連携強化
6.予定価格の的確な見直し

脱談合そしてダンピング」への1件のフィードバック

  1. 脱・談合社会

    談合はいけないこと、というわけで国も地方も、特に土木・建設事業を中心に脱・談合の大合唱である。

    一方で、地方の土木・建設事業者は受注件数が減り、または受注金額が大幅に安くなり、経営が立ち行かなくなっているという。県によっては、県経済自体が破綻の危機に瀕し

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