暗黙知の承継

 熟練技能者の退職に備え若手技術者の育成に勤しむ企業も多いが、単に熟練者の鞄持ち、見習いだけでは若手技術者は育たない。技術・技能は言葉など形にしにくいものである。こうした形のない知識(暗黙知)を伝えるには熟練技能者、若手技術者双方に備わっているべきものがある。動機・やる気、形式知の習熟、コミュニケーション能力、そして会社全体の企業文化である。
 動機・やる気は熟練者側には若手を育てる動機・やる気、若手側にはこの人の技術・技能を身につける動機・やる気である。経営者としては承継することで双方にどういったメリットがあるのか明示する必要がある。
 形式知の習熟は暗黙知を知るにはそれ以前の基礎的な事柄の教育が済んでいる必要があるという意味である。
 コミュニケーション能力は双方の能力。聴く力と伝える力。目で見て盗めでもかまわない。うまく盗ませてやる方法があるはずだ。口や耳だけでなく五感でのコミュニケーションが必要である。
 最後の企業文化。これは常日頃から風通しのよい情報交換が行われていることである。今まで一匹狼の集団でやってきたのに急に技術承継といっても無理な話である。
 承継がうまく進まない理由は他に計画性の問題などがあるが、当事者同士の問題としては上記の4つが殆どである。経営者はそうした問題を除去するサポートを行う義務があるのである。

暗黙知の承継」への1件のフィードバック

  1. 建築現場でのコミュニケーションのとり方

    住宅を建てる時にあなたは建築会社や設計事務所などにまかせっきりにしていませんか。住宅建築というのは当たり前ですが家を建築してくれる人存在しています。お金を払えば住宅は出来上がるというものではありません。
    しかし、建築現場にあまり足を運ぶのは億劫になることが

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