省エネ改修を対象に税優遇

 自民党税制調査会は平成20年度に「住宅の省エネ改修促進税制」を創設する方針を固めた。天井、壁、床、窓などの断熱工事費用(30万円以上)のために借りた住宅ローンの残高の2%を5年間所得税から控除するというものである。ローンの限度額は200万円。省エネ以外の工事もあわせて行った場合はその費用の残高についても1%を税額控除できる。所得税以外では、2010年3月末までに省エネ改修工事をした住宅について固定資産税を120?分まで3分の1まで減らせる措置も加わるという。
 断熱材やUVカットフィルムなど建材店、工務店はこうした税制の利用により利用者がどれほどの恩恵が受けられるかわかりやすく示した資料を作成し営業活動に利用すると良いだろう。

今年の漢字「偽」を少し考える

 大方の予想通り今年の漢字は「偽」となった。多くの偽装問題が起こった年であった。
 この「偽装」について振り返れば殆どの場合「そんなはずは無い」「知らなかった」となり「仕方が無く・・・」と落ち着く。自分の罪を隠そうとするあまり目先の対応に追われ傷を広げてしまう。多くの消費者は「すぐばれるのに・・・」と記者会見に臨む経営者の応対を冷ややかに見つめる。
 こうした経営者は最初からそうした偽装をやろうと商いを始めたわけではない。(と思いたい。)しかし経営上様々な問題をかかえいつのまにかそうした状態に陥る。これは経営者がもつ理念・ポリシーと企業を取り巻く問題との葛藤の結末の1つである。理念・ポリシーが負ければそうした結末となる。
 こうした問題は今後増えるのでは無いだろうか。M&A、企業買収が活発に行われているなかで、理念・ポリシーの源となる夢を持たず、投資や合理化の目的・手段として事業を行う経営者が増えている。特に合理化やコストダウンはその意味を履き違えれば偽装につながりやすい。今一度初心に立ち返って、何故自分はその事業を行っているのかを考えてみる良い機会に違いない。

建築確認申請に係るサポートセンターの開設

国交省は7日に公表した「改正建築基準法の円滑な施行に向けた取組について」の内容に従い10日に建築確認申請に係るサポートセンターを開設した。全国展開ではなく、まずは1拠点ということで関東甲信越支部サテライト(JSCA神奈川)に設置された。確認申請に関する相談に対して建築構造士が無料で応じる。対象エリアは神奈川県のみである。
確認申請の遅れは計画が遅れるだけに留まらず計画中止となったものまで多数発生している。そして工事は減少し多くの中小建設会社が資金繰りにあえいでいる。信用保証枠を倍額にして融資による支援を行っているが今回のこうした新たな取組みがはやく効果を発揮し正常な状態に戻らなければならない。

(独)住宅金融支援機構の地域ビルダー連携事業

住宅金融支援機構が住宅購入予定者に同機構が提供するフラット35をPRするために地域の工務店等ビルダーと連携する事業を開始する。
工務店は事業者登録を受けられれば、機構ホームページで社名を掲載してもらえるほか、要請に応じて機構職員による住宅ローン説明会が受けられるなどの支援が受けられる。登録要件を満たすのであれば是非検討してみて欲しい。

経審改正  平成20年度の改正内容と有利に進める対応策とは?

明日(12月12日(水))は四日市商工会議所にて『経審改正  平成20年度の改正内容と有利に進める対応策とは?』というテーマでセミナーを行う。同名のテーマのセミナーは大阪などで何回か開催したことがあるのだが、受講者の関心も高く内容の濃いものとなっている。公共工事を取り巻く環境も変化し、建設会社が採るべき戦略もそれにあわせて変えていかなければならない。受注すれば利益が出た工事はもう殆ど無い。自社で利益が出せる工事をよく吟味しながらの入札となる。工事数の減少にあわせて取捨選択していては対象となる工事数がさらに少なくなる。そのため着実に利益が出せるように施工体制や管理体制を整え、経営事項審査も効果的に対応する必要がある。
建築基準法の改正により多くの建設会社が苦境に追い込まれている。直接関係するものではないが、何かの助けになればと考えている。

エンピリカルソフトウェア工学の講義終了

 今日は和歌山大学で講義の日。5週に渡って「エンピリカルソフトウェア工学」というテーマであったが、プロジェクト管理を統計的なパラメータ指標を活用することによりうまく舵取りをしようというものである。パラメータ指標(メトリクス)といえば財務指標やBSCなどで活用されるKPIが思い浮かぶが目的としては同等のものと考えてもらってよい。
 PDCAサイクルの局面では得られたデータをチェックし次に活かす「C」、「A」が重要であるが、「C」のためのデータ収集について意外に無視されているケースが多い。メトリクスを設定するのはいいがどうやってデータを収集するのか・・・今回の講義ではプロジェクト管理(主にプログラミング工程)において収集したいパラメータを得る手段が明確ではなかった。リポジトリの活用といっても市販されているものではそこまで想定されていることは少ない。となればオープンソースのものを変更して・・・となるが、そうなるとデータ収集のためのコストが相当なものとなってしまう。そういった意味では中小のソフトウェア会社がこうした統計データを得ること自体に無理があるのであろう・・・
 建設業のプロジェクト管理においては主に金額や納期日数の指標が多いであろうが、こうした管理は特に重要である。利益を生み出すための体制強化としてBSCなどは活用できるので検討してみてほしい。

200年住宅に支援税制

 政府がすすめている「二百年住宅」構想を支援する税制を2008年度税制改正で創設する方針だそうだ。国の認定基準を設け、基準を満たした住宅に対して固定資産税を優遇する。現在、固定資産税には新築で築後3年間半分になる特例があるがさらに半分、すなわち4分の1になるという。
 認定基準、税制の優遇措置をあわせて工務店側にも構想にそった住宅提供の販売促進に役立てることができそうである。現在の住宅の寿命は約30年。しかし、業界のことを考えれば、大手メーカが「うちは二百年住宅には対応していません・・・」とおとなしくしているとも考えられない。メーカは製品開発により対応住宅を開発してくるはずである。競争原理においてはメーカ、工務店などが競争することはうれしいことであるが、その皺寄せが消費者に来ないかが心配である。また認定基準に満たされないとされる建材・資材のストックは今後どう扱われるのであろうか・・・