中小・中堅建設業者の経営相談事業

国交省の経営相談事業が今年から新しくなりました。その名も『建設企業のための経営戦略アドバイザリー制度』です。

メニューは2つあって、入口支援と出口支援。

入口支援は電話相談と建設業経営戦略アドバイザーの派遣。1回のみで無料です。

出口支援は相談のあった企業から選定し、支援チームを組んで目標達成まで継続的に支援するというものです。

昨年まで実施されていたワンストップサービスセンター事業は年度内2回までだったのですが、入口支援と比較すると回数減少ですが、出口支援は継続支援とのことで、どれぐらい選出されるのかわかりません。ただ相談を広く受けつつも相談によっては深いところまで支援していくものです。

もう1つ、建設業経営戦略アドバイザーについて。昨年度まで建設業経営支援アドバイザーとしての登録制度がありました。「戦略」と「支援」の違いですが、同じものではありません。事務局である建設業振興基金の話では「新事業のアドバイザーは、地方整備局、エリア統括マネージャー、都道府県等の推薦により各ブロック10名程度選定しました。」とのことでした。

また、もう1つの目玉としては東日本大震災で被災した建設企業向けに専用のホットラインを開設したことです。「支援メニュー等の情報提供を行うとともに、エリア統括マネージャーに加え、弁護士が電話アドバイスを行います。ご希望に応じて、建設業経営戦略アドバイザーを派遣することも可能です。※震災関係の相談については、何回でも利用できます。」とのこと。電話番号は0120-292220 です。

是非ご活用ください!!

見積条件を明確にすることで施工効率をあげる

建設工事やITシステム開発など受注型オーダー制作の分野においては見積条件の提示が十分でなく、合見積で企業間に大きな開きが出たり、あるいは完成後に言った・言わないのトラブルにつながることが非常に多い。

そうしたなか、建設生産システム合理化推進協議会『総合工事業者・専門工事業者間における工事見積条件の明確化について ー「施工条件・範囲リスト」(標準モデル)の作成ー』の第4版をこの3月に発行した。(PDFで全文が取得可能

各種専門工事において施工条件に入るのか入らないのかを〇・×で記入できる。記入は発注側と請負側とが同じ用紙内でチェックできるため、記入後にコピーを取って双方で保持するとよい。

また、発注後に現場で条件に変更が起きた際に、仕様変更などの手続きの手順や、その際に取り交わすべき変更契約書の書式も記載されている。

こうしたリスト(チェックシート)を使うことのメリットは大きく2つある。

  • 双方の工事範囲の意識の差を減らすことにより、契約面でのトラブル防止はもちろん、施工ミス、手直しも減らすことができ工事原価の削減及び施工品質の向上につながる。それはすなわち施主のためになる。
  • このチェックシートをもとすることで発注する側の業務の標準化を図ることができる。発注業務は積算業務や設計業務とも綿密につながっているため、社内作業の標準化が進み、品質・効率性を高め、こちら側も原価低減とミスの防止につながる。それはすなわち施主のためになる。

こうしたチェックシートは企業によってはそのまま使えないといったケースも多いが、そこは少しアレンジして使うといいだろう。是非活用してほしい。

日経ホームビルダーで気になる記事が2つ

日経ホームビルダー4月号を読んでいます。

Imag0816 気になる記事が2つありました。

1つは「リフォーム・中古10年後20兆円へ」という記事。国交省で「中古住宅・リフォームトータルプラン」の検討委員会がはじまったとあります。国交省のHPでも紹介されています。その記事のなかでは2010年度で中古住宅流通・リフォーム市場10兆円とあります。あれっ、建設市場全体で市場は40兆円。維持修繕市場がおよそ25%だから全体でも10兆円。住宅だけでそんなには無いはず・・・と思っていたのですが、よくよく考えればリフォーム市場だけでなく中古住宅の流通分も含んでいるのですね。市場分析の詳細な内容は上述HPにPDFリンクで示されていました。貴重な資料です。長期優良住宅事業との両輪で中古住宅流通分野は必要不可欠です。

もう1つの記事は「中古戸建にブランド力を」というもの。「R5住宅」という適合基準を設けて適合住宅に付加価値をつけようというものです。R5の5つはそれぞれ構造安全性、劣化状況・躯体強度、長期修繕計画、住宅履歴情報の蓄積、重要インフラ部位の5つ。これも長期優良住宅を意識した評価項目になっています。ただし評価判断は会員が自己責任で行うというもの。客観性に少し疑問を感じるものの、会員が中古住宅の流通にどれだけ真摯に取り組むかという意気込みに期待します。

ホームビルダーも維持修繕関係の記事が多くなってきています。時代の流れでしょうか。