改正建築士法及び関連政省令等の解説(社団法人日本木造住宅産業協会)(2009-5/100)

建築士法が改正され段階的に施行が始まっている。改正の目的は1.建築士の資質・能力の向上、2.専門能力を有する建築士による構造設計及び設備設計の適正化、3.設計・工事監理業務の適正化と情報開示などである。

新しい構造設計一級建築士や設備設計一級建築士制度が創設されたり、昨年11月に施行された重要事項説明の義務付けが与える負担増など色々と話題がつきないが、当の建築士、または建築士に設計を依頼する建設会社やあるいは施主においても今回の改正により過去の耐震偽造問題などに対してどう対応・改善していくのかは注目すべきことだ。

先月社団法人日本木造住宅産業協会より「改正建築士法及び関連政省令等の解説」が発刊された。これは法改正の概要と施行スケジュール、さらにはQ&A形式にて70もの疑問点に解説が成されている。主には建築士向けであるが前述の関係者も是非参考にしてほしいところである。

同書は書店ではなく、同協会のホームページから購入可能である。

図解 NPO法人のつくり方・運営のしかた(2009-4/100)

図解 NPO法人のつくり方・運営のしかた

最近NPO法人の設立方法についてたずねられたので自分の知識の整理・確認のためにわかりやすい解説書を探して発見したのがこの本です。

NPO法人についての解説書には設立方法を説明するものと運営(特に経理面)方法を説明するものがあります。本書はその両方についてわかりやすく解説しています。

設立方法についてはその手順を図解し作成する必要がある書類については記載例も掲載されているため実際に設立作業を行う際に大いに役立つでしょう。

また、運営については法的に公開する必要がある書類の作成や内部の経理作業にも触れられているほかに、多くのNPO法人が行き詰っている収益面についての考え方やその方法についても言及しています。NPO法人は非営利ですが継続のためには収益が必要です。非営利というのは儲かった利益を構成員に配分してはいけないというだけです。こうした考え方は本書内にも「NPOによくある誤解」として解説があり、NPO法人の設立がまだ検討段階である団体にも有効な道しるべになるように思えます。

最後の授業 ぼくの命があるうちに (2009-3/100)

最後の授業 ぼくの命があるうちに

 この本の存在を知ったのは1月7日、堺市内の書店で見かけたときだ。「最後の授業」というタイトルと帯に記された「余命半年」という言葉に大きく引き付けられた。「自分の命があるうちに伝えておきたいこと」を少し考えた。ただそのときはこの本を手にすることはなかった。

 次にこの本のことに触れたのは読書力の本で紹介されていたとき。短い間に2回の出会いがあった。すぐさま書店に出向き購入した。癌が再発し余命半年といわれた筆者の境遇ち最後の授業の内容を想像しきっと自分は涙を流すだろうと予想していた。

 しかし読み進めるうちにすぐにこれは癌との闘病記などを綴ったものではなく、タイトルの通り筆者がカーネギーメロン大学で行った「最後の講義」の続きとして書かれたもので、筆者が自ら様々な子どものときの夢を現実のものにしてきた経験とこれから夢を実現したいと考えている人たちへのメッセージが主な内容となっている。

 ともすれば涙を流すという予想は外れそうであったが最後のところでやはり予想通りとなった。悲しさと感動と半々だと思う。

 筆者はITのバーチャルリアリティという分野を専門とするカーネギーメロン大学の教授。バーチャルリアリティという言葉とカーネギーメロン大学。私が過去に勤めたことのある企業でこの2つのキーワードは大きな関連があり親近感も覚えた。

 色々な思いが駆け巡りながら読み進めていくことになったが、読み終えた感想としてはやはりこれからの人生を生きていく中でヒントになることを多く得ることができたということ。

 「幸運は、準備と機会がめぐりあったときに起こる」という一節があった。これと同じことを数日前に受けた相談の際に相手に伝えた。それは間違っていない考えだと再認識できた。

 「レンガの壁」がよく登場する。目の前に壁が立ちはだかったとき、自分がそれを超えられるか試されているチャンスと捉える。私は筆者と同じくして楽観主義者だと自分を分析しているが、厳しいことに立ち向かうよりはそれを避けていることの方が多いように思える。それは楽観主義ではなく単なる怠け者だと気付きを与えてくれた。これからはそのチャンスをものにしたいと思う。

 この本もまたいつか読み返したい一冊となった。

※実際の最後の授業の様子はYouTubeで見ることができる。

容疑者ケインズ (2009-2/100)

容疑者ケインズ (ピンポイント選書)

経済学者のケインズ。少し経済について触ったことのある人なら聞いたことがある名前だろう。私もそのうちの一人。しかしケインズが唱える内容についてはほとんど知らず、また理解できるほど経済学の知識も持ち合わせていない。

そうした人間にとって本書はケインズのいう理論を理解するのに良いと思える。筆者の小島氏は帝京大学の准教授。もともとは数学科出身で数学の講師をされていた。経済学を社会人になって学び始めた同氏はケインズに対する理解をわかりやすく解説してくれる。生粋の経済学者が書く解説よりもはるかにわかりやすいのである。私も同じ数学科出身というところで妙な親近感を覚えてしまった。

この本はケインズのすべてを解説するわけではない。不況、バブル、格差といった今の経済情勢にケインズの理論をあてはめることで理解をうながしつつ、ケインズを賞賛したり反論したりと色々である。

経済学素人の私にとって公共投資や貨幣量が経済に与える影響や投資・消費・貯蓄の関係など興味深いテーマがいくつもあった。

またいつか読み返したい本である。